プログレスM1-3

プログレスM1-3

プログレスM1-3（Progress M1-3）は、ロシア連邦宇宙局が開発・運用した国際宇宙ステーション（ISS）への無人補給船です。NASAにおいては「プログレス1」（Progress 1, 略称: 1P）という名称で識別されました。この機体は、プログレス補給船の改良型であるProgress-M1シリーズに属し、具体的にはバージョン11F615A55、シリアル番号251として製造されました。その主たる任務は、国際宇宙ステーションの初期段階における重要な物資輸送を担うことでした。

打ち上げとISSへの初ドッキング

プログレスM1-3は、2000年8月6日のグリニッジ標準時16時26分42秒に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にあるSite 1/5から、ソユーズ-Uロケットに搭載されて宇宙へと旅立ちました。打ち上げ成功後、宇宙空間を飛行したプログレスM1-3は、同年8月8日のグリニッジ標準時20時12分56秒に、ISSのズヴェズダモジュールへのドッキングに成功しました。このドッキングは、国際宇宙ステーションに対し、無人宇宙機によって物資を供給した初の事例となり、その後のISS運用における無人補給ミッションの礎を築きました。

運用と物資の取り扱い

ISSとのドッキングを果たした後、プログレスM1-3はステーションの運用に必要な燃料、水、食料、機器などの補給品を届けました。特筆すべき点として、このプログレスM1-3の運用期間中は、まだISSに常駐する長期滞在クルーがいない時期でした。そのため、プログレスM1-3が運んできた貨物は、その後に飛来したスペースシャトルミッションであるSTS-106とSTS-92のクルーによって、ステーション内部へと運び込まれ、配置されることとなりました。これは、ISSの建設および初期の準備段階における、独自の運用体制を示す事例と言えます。

任務完了と大気圏再突入

約3ヶ月間にわたるISSへの補給任務と、ステーションとの一時的な結合期間を終え、プログレスM1-3は次のソユーズ宇宙船（ソユーズTM-31）がズヴェズダモジュールのポートを使用できるよう、アンドッキングする段階へと移行しました。2000年11月1日のグリニッジ標準時4時4分49秒にISSから無事分離し、その後、同じ日のグリニッジ標準時7時50分00秒には軌道を離脱するためのスラスタ噴射を行いました。軌道を外れたプログレスM1-3は、太平洋上空で地球の大気圏に再突入しました。機体の大部分は断熱圧縮による高熱で燃え尽きましたが、完全に燃え尽きなかった一部の機体片は、グリニッジ標準時およそ7時53分20秒に太平洋上の予定された海域へ落下したとされています。

このように、プログレスM1-3は、国際宇宙ステーションへの無人補給という、その後のISS運用に不可欠となる活動の先駆けとなった重要なミッションであり、ISSの初期構築段階を支えた機体の一つとして歴史に記録されています。

関連項目

プログレス補給船の飛行一覧
国際宇宙ステーションへの無人宇宙飛行の一覧

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