プログレスMS-07

プログレスMS-07（ロシア語: Прогресс МC-07、NASA呼称: プログレス68P）は、ロシア連邦宇宙局（ロスコスモス）によって開発・運用されたプログレスMSシリーズに属する無人宇宙補給船です。国際宇宙ステーション（ISS）への物資輸送という重要な役割を担いました。この機体は、プログレスM補給船をベースに大幅な近代化が図られたプログレスMS型の、通算7番目のミッションにあたります。

プログレスMSシリーズの強化点

プログレスMSシリーズは、先行するプログレスMシリーズに比べて、特に航法・通信システムや安全性が大きく向上しています。主な改良点は以下の通りです。

航法・通信機能の向上: 地上の管制局の視野外であっても、ロシアのルーチ中継衛星を経由してテレメトリーデータの送信やコマンドの受信が可能となりました。また、全地球測位システム（GNSS）を用いた自律航法能力を獲得し、地上からの軌道決定を待たずに自身の位置や軌道要素を正確に把握できるようになっています。さらに、ISSとの間で直接無線データ通信を行うことで、リアルタイムでの相対的な位置情報を取得し、より高精度なドッキング操作を実現しました。
システムの近代化: ドッキング操作に用いられるテレビシステムの視野を広げる新しいデジタル無線システムが導入されました。また、ウクライナ製の無線システムやアンテナフィーダーシステムがロシア製の統合コマンド・テレメトリー・システム（UCTS）に置き換えられ、ドッキングシステムもアナログのクルスAからデジタルのクルスNAへと刷新されました。
冗長性と安全性: ドッキング機構および密閉システムの電気モーターに予備系が追加され、システムの信頼性が向上しました。また、貨物コンパートメントにパネルが増設され、微小隕石に対する防護能力が高められています。
追加機能: プログレスMS-03で初めて装備された、人工衛星を軌道上で展開するための新しい外部コンパートメントが搭載可能になりました。各コンパートメントには最大4基の発射コンテナを格納できます。

これらの改良により、プログレスMSシリーズはより多様な任務に対応し、ISSへの補給をより効率的かつ安全に行うことができるようになりました。

打ち上げとISSへの到達

プログレスMS-07は、当初の計画から2日間の遅延を経て、2017年10月14日協定世界時（UTC）午前8時46分53秒に、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の31/6番射点から、ソユーズ2.1aロケットに搭載されて打ち上げられました。打ち上げ後の軌道投入は順調に進み、ISSへのランデブー軌道に乗りました。

今回の打ち上げでは、遅延の影響もあり、ISSへ短時間で到達するための新しい「2軌道交差プロファイル」が初めて試験的に使用されました。これにより、プログレスMS-07は打ち上げからわずか約2日後の2017年10月16日UTC午前11時04分07秒にISSへのドッキングを完了しました。

ISSとのドッキングと貨物

プログレスMS-07は、ISSロシアモジュールの一部であるピアース・モジュールの後方側ポートに結合しました。この任務で輸送された貨物は合計で2,549 kgに及び、当時ISSに滞在していた6名のクルーの活動を支えるための重要な物資が含まれていました。具体的な貨物の内訳は以下の通りです。

与圧貨物（食料、衣類、実験機器など）：1,382 kg
燃料（ズヴェズダ・サービスモジュール用）：700 kg
水：420 kg
空気：24 kg
* 酸素：23 kg

これらの物資は、ISSの運用維持、科学実験の実施、クルーの生活に不可欠なものでした。

任務の完了と軌道離脱

プログレスMS-07は、ISSへのドッキングを約5ヶ月間続けた後、2018年3月28日UTC午後1時50分30秒にピアース・モジュールからドッキングを解除しました。ISSを離脱した後も、この機体は直ちに廃棄されず、2018年4月26日まで宇宙空間での追加実験に使用されました。全ての任務を終えた後、プログレスMS-07は大気圏に再突入して燃え尽き、その役目を終えました。

プログレスMS-07ミッションは、ISSへの継続的な補給ラインを維持し、プログレスMSシリーズの改良された性能を実証する成功した飛行でした。これにより、ISSでの長期滞在ミッションが安定して継続されるための基盤が提供されました。

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