プログレスMS-22

プログレスMS-22（ロシア語名: Прогресс МC-22、ロシア製造番号452、NASAからはプログレス83Pと呼ばれました）は、ロシア連邦宇宙局ロスコスモスが国際宇宙ステーション（ISS）への定期的な物資補給ミッションに使用した無人宇宙補給船です。これは、プログレス宇宙機シリーズ全体としては通算175回目の打ち上げとなりました。

プログレスMSシリーズの進化

プログレスMS型は、その前身であるプログレスM型を基に、主要なシステム、特に航法装置や通信機能を大幅に強化した改良型として開発されました。この強化されたバリエーションは、2015年12月21日に初めて宇宙へと打ち上げられました。プログレスMSシリーズには、以下のような重要な改良点が施されています。

人工衛星展開機能: 新しい外部コンパートメントが追加され、小型人工衛星の展開が可能になりました。それぞれのコンパートメントは、最大で4個の発射コンテナーを収容でき、この機能はプログレスMS-03で初めて搭載されて実証されました。
冗長性の向上: ドッキングおよび密閉機構に使用される電気モーターには、予備システムが追加され、機器の故障に対する冗長性が強化されています。
微小隕石防護の強化: 貨物コンパートメントにパネルが追加され、宇宙空間に漂う微小な隕石やデブリとの衝突に対する防護能力が向上しました。
広範囲な通信能力: ロシアのルーチ中継衛星とのリンク機能が備わったことで、プログレス補給船が地上局の通信範囲外にある場合でも、テレメトリーデータの送信や地上からの制御が可能になりました。
自律航法システム: 地上局による複雑な軌道決定を必要とせず、GNSS（全地球測位システム）を用いた自律航法によって、自身の正確な位置情報（状況ベクトル）や軌道パラメーターを独立して決定できるようになりました。
リアルタイム相対航法: 宇宙ステーションとの間で直接無線データ交換を行う機能が追加され、接近・ドッキングマヌーバーを行う際の相対的な位置情報をリアルタイムで高精度に把握することが可能になりました。
デジタル無線システム: ドッキング操作時のテレビ視野を向上させるため、新しいデジタル無線システムが導入されました。
統合コマンドテレメトリーシステムの採用: ウクライナ製の旧システム（Chezara Kvant-V無線システムおよびアンテナフィーダーシステム）に代わり、統合コマンドテレメトリーシステム（UCTS）が採用され、より効率的で信頼性の高いデータ通信が実現しました。
ドッキングシステムの更新: ドッキングシステムのクルスAが、より高性能なデジタルシステムのクルスNAに更新されました。

これらの改良により、プログレスMSシリーズは、従来のプログレスM型に比べて、より多機能で信頼性が高く、自律性も増した補給船となっています。

プログレスMS-22の打ち上げとドッキング

プログレスMS-22を軌道へ投入するため、ソユーズ2.1aロケットが使用されました。この打ち上げは、2023年2月9日にカザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の31番射点から行われました。打ち上げから約2日後、プログレスMS-22は国際宇宙ステーション（ISS）のロシア区画にあるズヴェズダ・モジュールに自動的にドッキングを成功させました。プログレスMS-22は、当時ISSに滞在していた第69次長期滞在クルーの生活と科学実験に必要な物資を届ける重要な役割を担いました。

搭載された貨物

プログレスMS-22宇宙船は、ISSへの補給ミッションのために総計約2,520 kg（約5,560ポンド）の貨物を搭載していました。この貨物の内訳は以下の通りです。

与圧されていない貨物（ISS内部ではなく、宇宙空間に露出する可能性のある機器など）: 1,319 kg（約2,908ポンド）
ステーションの推進システムや軌道制御に使用される燃料: 709 kg（約1,563ポンド）
ISS内の呼吸用として供給される酸素: 40 kg（約88ポンド）
* クルーが使用する水: 420 kg（約930ポンド）

これらの物資は、ISSでのクルーの健康維持、科学研究の継続、およびステーションの運用に不可欠なものでした。プログレスMS-22ミッションは、ISSへの安定した補給ラインを確保する上で、成功裏にその役割を果たしました。

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