プロジェクト (ProjeKct): キング・クリムゾンの実験精神が生んだ音楽ユニット群
プロジェクト(ProjeKct)は、
プログレッシブ・ロックの重鎮、キング・クリムゾンから派生した
実験音楽ユニットの総称です。
1990年代後半、キング・クリムゾンの活動方針を巡る内部の意見の相違から、リーダーの
ロバート・フリップは、既存の編成を一時的に休止し、新たな音楽的アイデアを探求する場として、複数の小ユニットを立ち上げました。これが「プロジェクト」の始まりです。
プロジェクト1~4、X、6:インプロヴィゼーションを重視した実験的音楽
1997年から
2006年にかけて、
ロバート・フリップは、キング・クリムゾンのメンバーから選抜したメンバーで構成された「プロジェクト1」から「プロジェクト4」を断続的に展開しました。これらのプロジェクトでは、インプロヴィゼーション(
即興演奏)が重視され、ライブ・アルバムを中心に作品が発表されました。
2000年には、これらのプロジェクトで培われたアイデアを結集したアルバム『ヘヴン・アンド・アース』が「プロジェクトX」名義でリリースされました。また、
2006年には、短期間のみ活動した「プロジェクト6」も存在します。
これらのプロジェクトは、キング・クリムゾンの音楽性をより実験的に、即興的に追求する場として機能しました。メンバーは、固定された楽曲を演奏するのではなく、その場のインスピレーションに基づいて自由に演奏を繰り広げました。その結果、予測不可能で刺激的な音楽が生まれました。
その他のプロジェクト:ザ・クリムゾン・プロジェクト、BEAT
これらのプロジェクトとは趣を異にするものとして、「ザ・クリムゾン・プロジェクト」や「BEAT」が存在します。「ザ・クリムゾン・プロジェクト」は、
ロバート・フリップ公認のもと、エイドリアン・ブリューが中心となって結成されたバンドで、キング・クリムゾンの過去の楽曲をライブで演奏することを目的としていました。2024年からは、エイドリアン・ブリュー、
トニー・レヴィンに加え、スティーヴ・ヴァイ、
ダニー・ケアリーという豪華なメンバーで「BEAT」が始動しています。
各プロジェクトのメンバー
プロジェクト1: ロバート・フリップ、
トレイ・ガン、
ビル・ブルーフォード、
トニー・レヴィン
プロジェクト2: ロバート・フリップ、
トレイ・ガン、エイドリアン・ブリュー
プロジェクト3: ロバート・フリップ、
トレイ・ガン、
パット・マステロット
プロジェクト4: ロバート・フリップ、
トレイ・ガン、
トニー・レヴィン、
パット・マステロット
プロジェクトX: ロバート・フリップ、
トレイ・ガン、
パット・マステロット、エイドリアン・ブリュー
プロジェクト6: ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー
ア・キング・クリムゾン・プロジェクト: ジャッコ・ジャクジク、
ロバート・フリップ、
メル・コリンズ、
トニー・レヴィン(サポート)、ギャヴィン・ハリソン(サポート)
ザ・クリムゾン・プロジェクト: エイドリアン・ブリュー、
トニー・レヴィン、
パット・マステロット、マーカス・ロイター、ジュリー・スリック、トビアス・ラルフ
BEAT:エイドリアン・ブリュー、
トニー・レヴィン、スティーヴ・ヴァイ、
ダニー・ケアリー
ディスコグラフィ(アルバム)
プロジェクト1: 『ライヴ・アット・ザ・ジャズ・カフェ』, Jazz Café Suite, London, Jazz Café, England – December 4, 1997
プロジェクト2: 『スペース・グルーヴ』, 『ライヴ・グルーヴ』, Live in Northampton, MA, I.C. Light Music Tent, Pittsburgh, Pennsylvania, Live in Chicago, IL
プロジェクト3: 『マスク』, Live in Austin, TX, Live in Alexandria, VA
プロジェクト4: 『ウェスト・コースト・ライヴ』, Live in San Francisco/The Roar of P4
プロジェクトX: 『ヘヴン・アンド・アース』
プロジェクト6: East Coast Live
ア・キング・クリムゾン・プロジェクト: 『ア・スケアシティ・オブ・ミラクルズ』
* ザ・クリムゾン・プロジェクト: Official Bootleg Live 2012, 『オフィシャル・ブートレッグ・リミテッド・エディション 1ST DAY』, 『オフィシャル・ブートレッグ・リミテッド・エディション 2ND DAY』, 『オフィシャル・ブートレッグ・リミテッド・エディション 3RD DAY』, 『ライヴ・イン・トーキョー』
プロジェクトは、キング・クリムゾンの音楽的な探求心を象徴する存在であり、その実験精神は、後の音楽シーンに大きな影響を与えました。