プロメテウス (衛星)

プロメテウスについて

プロメテウスは、土星の第16番目の衛星であり、羊飼い衛星として知られています。特に、土星の環の一つであるF環の形成と維持に重要な役割を果たしています。

発見と命名

プロメテウスは、1980年10月中旬にボイジャー1号によって撮影された写真の中から、ブラッドフォード・A・スミス率いる撮像チームによって発見されました。発見当初は「S/1980 S 27」という仮符号で呼ばれていました。その後、1986年1月3日に、ギリシア神話に登場する巨人プロメテウスにちなんで命名され、Saturn XVIという確定番号が与えられました。この時、パンドラも同時に発見されています。

物理的特徴

プロメテウスは、非常に細長い形状をしており、その三軸径はおよそ136km×79km×59kmです。表面には尾根や谷、直径20kmほどの衝突クレーターが複数見られますが、近隣を公転するパンドラ、エピメテウス、ヤヌスなどの衛星と比べると、クレーターの数は比較的少ないです。

プロメテウスの密度は非常に低く、アルベド（反射率）は比較的高いことから、多孔質な氷でできていると考えられています。ただし、これらの値にはまだ不確実性が残されています。

F環および他の衛星との関係

プロメテウスは、土星のF環の内縁を公転する羊飼い衛星です。かつては、F環の外側を公転するパンドラもF環の形成に関わっていると考えられていましたが、近年の研究では、F環の形成に寄与しているのはプロメテウスのみであることが示唆されています。

土星探査機カッシーニの観測により、プロメテウスの重力がF環にねじれ構造やこぶ状の構造を生成していることが判明しました。また、プロメテウスの軌道は、パンドラとの121:118の平均運動共鳴の影響により、カオス的であると考えられています。この影響により、約6.2年ごとにパンドラの近点がプロメテウスの遠点と一直線上に並び、両者は約1400km以内まで接近します。

さらに、プロメテウスはアトラスの軌道にも大きな擾乱を与えており、両者は平均経度が53:54の共鳴を起こしています。

まとめ

プロメテウスは、土星の環システムにおいて重要な役割を果たす衛星です。その特異な形状や組成、そして他の衛星との複雑な相互作用は、土星の衛星系のダイナミクスを理解する上で重要な手がかりを提供しています。

出典

* ザ・ナインプラネッツ 日本語版（土星の小さな月たち）

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