プロ野球トップ&リレー中継

プロ野球トップ&リレー中継とは

プロ野球トップ&リレー中継は、試合中継の放送時間を複数の放送局で分担する仕組みです。具体的には、ある放送局が試合開始から一定時間までを放送し、その後、別の放送局が放送を引き継いで試合終了までを中継します。ここでは、その歴史的背景や各局の事例、ラジオでの展開などを詳しく解説します。

歴史

関東地方の独立局の事例

黎明期、東京キー局はナイター中継を行っていましたが、放送時間の制約から試合の最後まで中継できないことが頻繁にありました。特に人気が高かった巨人戦ナイターでも、試合途中で放送が終了することが多く、視聴者からの不満が絶えませんでした。

日本テレビは、この状況を改善するために様々な試みを行いました。1960年代には、中継終了時間を延長したり、放送時間枠を拡大したりしましたが、根本的な解決には至りませんでした。1971年には、ナイター中継の画面をワイプで表示する「ワイプナイター」を考案しましたが、番組内容との兼ね合いや著作者団体からの抗議により、短期間で中止となりました。

試合時間の長期化が進む中で、1974年には後楽園球場でのナイターの65%が最後まで中継できないという状況に陥り、日本テレビにとって大きな課題となりました。

リレーナイターの開始経緯

1972年に開局したテレビ神奈川（TVK）は、東京キー局との競争を避けるため、独自の番組編成を行っていました。TVKは、日本テレビが放送しきれないナイター中継を引き継ぐ「リレー中継」の構想を打ち立て、日本テレビに実現を働きかけました。

当初、日本テレビ内部には反対意見もありましたが、当時の社長の決断により、1975年7月から日本テレビとTVKの間でリレー中継が開始されました。これは、同一地域の民放VHF局から独立UHF局へ番組が引き継がれる初の試みでした。

TVKは日本テレビから中継の供給を受け、実況や解説者、スタッフもそのまま引き継ぎました。リレー中継は「TVKリレーナイター」と銘打たれ、視聴率は14.9%を記録し、宣伝枠も完売するほどの人気を博しました。1976年には、群馬テレビや千葉テレビでも日本テレビからのリレー中継が放送されるようになりました。

リレー中継の開始は、TVKの存在感を高め、UHFアンテナの普及にも貢献しました。しかし、日本テレビの放送形態の変化によっては打ち切られる可能性や、独立UHF局が放送していた別カードのナイター中継を打ち切る必要性があるなど、課題も抱えていました。

1980年代以降のリレーナイター

1980年には、巨人主催のナイター開始時間が繰り上がり、日本テレビの中継開始時間も早まりました。これにより、独立UHF局のリレー中継の実施回数や放送時間が減少しましたが、日本テレビが新たに30分間の「トップナイター」を開始することで補填されました。

1983年には、リレー中継の放送開始時間が繰り上げられ、スムーズな継続視聴が可能になりました。90年代初頭には、フジテレビとTVKの提携で、横浜ベイスターズ対巨人戦のリレー放送も実施されました。

その他のテレビ局の事例

静岡第一テレビでは、「プレイボールナイター」として巨人戦ナイターのトップ中継を実施していました。山梨放送では、CATVを利用した第2放送でナイターのリレー中継を行っていました。2024年には、名古屋テレビと東海テレビが系列外2局によるリレー中継を実施しました。

サンテレビでは、朝日放送からの要請で、阪神タイガース主催のホームゲームをリレー中継していました。KBS京都でも同様に朝日放送からのリレー中継が放送されています。

1990年代には、CSチャンネルが開局し、特定のチームのホームゲームを完全中継するようになりました。地上波とCSのトップ&リレーナイターが増加し、巨人戦の試合を地上波と合わせて全て視聴できるようになりました。

ラジオ局の事例

FM NACK5は、開局当時、文化放送との間で西武ライオンズ戦のナイターのリレー中継を行っていました。文化放送が最大延長制を設けたため、NACK5の平日のリレー中継は廃止となりました。

現在行われているトップ&リレー中継

地上波

広島テレビ、札幌テレビ、福岡放送が巨人対広島戦などのトップ中継を行っています。朝日放送テレビ、サンテレビ、KBS京都が阪神主催ゲームのリレー中継を行っています。テレビ新広島は、広島ホームゲームやビジターゲームを自社制作またはネット受けで中継しています。

BS放送

BS朝日が巨人戦ビジターゲームのトップ&リレー中継を行っています。BS日テレが巨人主催試合や対阪神戦で実施しています。BS-TBSが対DeNA戦、対中日戦、対阪神戦、対広島戦で実施しています。BSフジが対ヤクルト戦で実施する予定です。

CS放送

GAORAとスカイ・Aが阪神対巨人戦でトップ&リレー中継を行っています。日テレジータスは巨人ビジターゲームを完全生中継しています。フジテレビONEはヤクルト対巨人戦を完全生中継しています。

過去の異例なリレー中継

過去には、中京テレビと名古屋テレビ、山形放送と山形テレビ、長崎放送とテレビ長崎など、系列を跨いだリレー中継が行われた事例がありました。また、江川卓の初登板試合をニュース番組内でニアライブ放送した事例や、フジテレビONEがスタジオからトークを交えて放送した事例もありました。

2024年には、名古屋テレビが東海テレビにロッテ対中日戦のリレー中継を依頼し、系列を跨いだリレー中継が実現しました。

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