プーマ戦闘工兵車

プーマ戦闘工兵車（PUMA Combat Engineering Vehicle）

プーマ戦闘工兵車（PUMA CEV）は、イスラエル国防軍によって開発され、戦闘工兵任務に特化した装甲車両です。この車両は1991年に実戦配備され、主に地雷処理や障害物の清掃、工兵作業支援に使用されてきました。プーマという名称は、ヘブライ語で「障害物啓開工兵車両」を意味する言葉の頭文字を取ったアクロニムであり、その背景には厳しい実戦環境があります。

開発の背景

1982年の第一次レバノン侵攻において、イスラエル国防軍は従来のM113装甲兵員輸送車が、PLOをはじめとする敵勢力の対戦車ミサイルやRPGに対して防御力が不足していることを痛感しました。このため、イスラエル軍はM113の改修を行い、トーガ・アーマーを追加装着することで防御力を向上させました。しかしその後も、より優れた防護能力を持つ車両の必要が高まり、ナグマショットと呼ばれる重装甲兵員輸送車が導入されました。

ナグマショットは実戦でその耐久性を証明し、戦闘工兵部隊でも使用されるようになりました。しかし、その設計が装甲兵員輸送車に特化していたため、工兵部隊のニーズには限界がありました。そこで、イスラエルの工兵部隊は新たな、専用の戦闘工兵車の必要性を訴え、開発が進められることになりました。このプロセスの中で、ナグマショットの後継車種としてT-54/T-55を基にしたアチザリットが開発されたこともあり、ショット・カルの車体をベースにしたプーマの開発がスタートしました。

構造と機能

プーマ戦闘工兵車は、ナグマショットと類似した構造を持ちながらも、より低いプロファイルで設計されています。また、フラットな天面を持つことで、様々な工兵装置の装着が可能です。地雷処理ローラーやドーザーブレードなどを装備できる点も大きな特長です。さらに、牽引式の地雷原啓開設備を装着することもでき、運用の幅広さが伺えます。

車体のサスペンションには新型のホルストマンサスペンションが採用され、これによって粗い地形でもスムーズに移動可能となりました。エンジンは750馬力のディーゼルエンジンを搭載し、改修を受けた一部の車両では900馬力のエンジンに換装されています。

武装と防護

武装に関しては、プーマは4挺のFN MAG7.62mm機銃を装備し、うち1挺は遠隔操作式銃塔に搭載されています。また、60mm迫撃砲も標準装備されており、火力支援の役割も果たします。装甲は複合装甲で構成され、追加で爆発反応装甲を装着することも可能です。

派生型

プーマの派生型としては、車体後部に大型クレーンを搭載し、兵員室を拡張した装甲回収車（プーマ ラム）が存在します。このように、プーマは工兵任務のみならず、回収作業など多様な役割を持つ車両として活躍しています。

結論

プーマ戦闘工兵車は、イスラエル軍の戦場において、工兵任務を支援するための強力な武器となっています。その設計や装備、性能は、実戦の経験を基にしたものであり、効果的な運用が期待されています。今後も、プーマは様々な任務に対応し続けるでしょう。

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