プール・オブ・レイディアンス

プール・オブ・レイディアンス (Pool of Radiance)

『プール・オブ・レイディアンス』は、1988年にStrategic Simulations (SSI) から発売されたPC/AT互換機|PC_AT互換機用ロールプレイングゲームです。テーブルトークRPG『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』 (AD&D) 第1版をベースにしており、その戦略性と自由度の高さから、多くのファンを魅了しました。

ゲーム概要

物語は、モンスターに占領され廃墟と化したフラン市を、プレイヤーがモンスターの手から取り戻すというもの。プレイヤーは市役所から依頼される様々なクエストをこなしながら、ゲームを進めていきます。ゲーム全体のボリュームはそれほど大きくありませんが、各クエストは丁寧に作り込まれており、プレイヤーの選択によって多様な展開を見せるのが特徴です。

当時のコンピュータRPGは、クエストの解決方法が予め決まっているものが多かったのですが、本作では一つのクエストに対して複数の解決方法が用意されているなど、テーブルトークRPGのシナリオを意識した構成となっています。この自由度の高さが、本作の大きな魅力の一つです。

開発と移植

開発はStrategic Simulationsが行い、プロジェクト・マネージャーはチャールズ・J・クローゲル・ジュニア、音楽はデヴィッド・ウォーホルが担当しました。彼らの手によって、ゲームの世界観と音楽が見事に融合し、プレイヤーをAD&Dの世界へと引き込みます。

発売後、本作は様々なプラットフォームに移植されました。コモドール64、Apple II、Macintosh、Amigaといった海外の主要なPCに加え、日本ではポニーキャニオンからPC-9800シリーズ、PC-8800シリーズ、PC-88VA、X1turbo、ファミリーコンピュータに移植され、多くの日本のゲーマーにも親しまれました。

ゲームシステムの特徴 (PC-9801/PC-8801/PC-88VA/X1turbo版)

移植版の中でも、PC-9801/PC-8801/PC-88VA/X1turbo版は、AD&Dのゲームシステムを忠実に再現しています。キャラクター作成シーンでは、属性値が9種類も存在し、職業もエルフやドワーフ、戦士、僧侶、魔法使いなど、ファンタジー世界ではお馴染みのものが用意されています。キャラクターグラフィックも、頭部と胴体の2種類を組み合わせて、プレイヤーの好みに合わせて多様なスケッチを作成可能です。

また、プレイヤーの位置から2、3歩離れた位置にいる敵を認識できるシステムも独特で、敵が近づいてくる間に逃げることもできます。敵に遭遇した場合も、すぐに戦闘シーンに入るのではなく、戦闘や逃走、交渉など、状況に応じた選択肢を選ぶことができます。

ゲーム画面は、左側にダンジョンの3Dマップや2Dマップ、右側にプレイヤーのパーティ・キャラクター一覧とステータス、下側にメッセージが表示される構成。戦闘シーンでは、左側の画面が戦闘画面に切り替わり、戦闘場所によって地形も変化します。

評価と影響

『プール・オブ・レイディアンス』は、発売当時から高い評価を受け、北米では264,536本を売り上げました。これは、SSIが同年リリースした『ヒーロー・オブ・ランス』の3倍にあたる記録的な数字です。また、攻略本もSSIの過去のゲームよりも多く売れるなど、その人気ぶりを物語っています。

ゲーム雑誌などでも肯定的な評価が多く、グラフィックやロールプレイ、戦闘の側面が称賛されました。一方で、過去のコンピュータRPGとの類似点や、謎解きの要素の少なさなどが指摘されることもありました。

本作の成功を受けて、続編となる『カース・オブ・アジュア・ボンド』が発売された他、「ゴールド・ボックス」シリーズと呼ばれる同様のシステムを使用したゲームが多数発売されました。2001年には、ダンジョンズ&ドラゴンズ第3版をベースにした完全新作『Pool of Radiance: Ruins of Myth Drannor』も発売されています。

シリーズ作品

プール・オブ・レイディアンス（本作）
カース・オブ・アジュア・ボンド (Curse of the Azure Bonds)
シークレット・オブ・シルバーブレイド (Secret of the Silver Blades)
プールズ・オブ・ダークネス (Pools of Darkness)
* 番外編：ヒルズファー (Hillsfar)

『プール・オブ・レイディアンス』は、AD&DをベースにしたコンピュータRPGの金字塔として、今もなお多くのファンに愛され続けています。その戦略性と自由度の高いゲームシステムは、後のRPGに大きな影響を与えました。

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