ヘイスティ (駆逐艦・2代)

イギリス海軍駆逐艦「ヘイスティ」（HMS Hasty, H24）の生涯

「ヘイスティ」は、イギリス海軍が建造したH級駆逐艦の一隻です。1935年4月15日にスコットランドのウィリアム・デニー・アンド・ブラザーズ社で起工され、1936年5月5日に進水、同年11月11日に竣工しました。兵装などを除く建造費用は24万8611ポンドでした。

第二次世界大戦勃発まで

就役後、「ヘイスティ」は地中海艦隊の第2駆逐群に配属され、1939年6月から7月にかけてデヴォンポート工廠で修理を受け、その後再び地中海に戻りました。

第二次世界大戦の開始と初期の活動

1939年9月の第二次世界大戦勃発直後、「ヘイスティ」はポートサイドとジブラルタル間の船団護衛に従事しました。10月にはドイツの通商破壊艦を捜索するためフリータウンへ移動。12月には、巡洋戦艦「レナウン」や空母「アーク・ロイヤル」などと合流し、ラプラタ沖海戦後にモンテビデオに入港したドイツ装甲艦「アドミラル・グラーフ・シュペー」の脱出に備え、ラプラタ川河口へ展開しました。

ドイツ船拿捕と本国艦隊への異動

1940年2月12日、「ヘイスティ」はイギリスへ帰還する途中でドイツ船「Morea」を拿捕しました。「Morea」の船長は自沈を命じましたが、「ヘイスティ」の機銃射撃でドイツ人を船に戻し、拿捕に成功しました。3月に修理を終えると、「ヘイスティ」は本国艦隊に配属され、駆逐艦「ジャーヴィス」の護衛任務や、ノルウェーのドイツ目標を攻撃する空母の護衛などを行いました。

地中海での戦い

1940年5月、「ヘイスティ」は地中海へ移動し、以降、様々な作戦に参加しました。6月にはバルディア砲撃を支援、7月にはカラブリア沖海戦、スパダ岬沖海戦に参加しました。スパダ岬沖海戦では、イタリア軽巡洋艦「バルトロメオ・コレオーニ」の撃沈に貢献しました。10月には、イタリア潜水艦「ベリロ」を撃沈し、乗組員を救助しました。

その後の戦歴

その後も、「ヘイスティ」はタラント空襲を支援する空母の護衛や、アルバニア沿岸への砲撃を支援。1941年1月には、MC4作戦に参加し、船団護衛を行いました。3月にはマタパン岬沖海戦に参加。4月中旬には、マルタへの補給作戦を支援。クレタ島からの撤退作戦にも参加しました。

1941年7月にはシリア・レバノン戦線でのフランス軍陣地砲撃に参加し、その後はトブルクへの船団護衛に従事しました。12月には、ドイツ潜水艦「U79」を撃沈しました。

最期

1942年に入り、「ヘイスティ」はマルタへの補給作戦に参加。6月15日、ヴィガラス作戦中にドイツ魚雷艇「S55」の攻撃を受けました。「ヘイスティ」は、軽巡洋艦「ニューカッスル」を護衛中、「ニューカッスル」が被雷した直後、自らも魚雷攻撃を受けました。魚雷は艦の前部左舷に命中し、ボイラー室に浸水。艦の状態と更なる攻撃の可能性から、艦長は総員退艦を決定しました。乗員は駆逐艦「ホットスパー」に救助され、「ヘイスティ」は魚雷で処分されました。この攻撃で13名が命を落としました。

「ヘイスティ」の戦訓

「ヘイスティ」の被雷は当初、潜水艦によるものと考えられていましたが、実際にはドイツ魚雷艇によるものでした。この事件は、対艦攻撃における敵艦艇の識別と、迅速な対応の重要性を改めて示す教訓となりました。

まとめ

「ヘイスティ」は第二次世界大戦において、数々の作戦に参加し、その任務を遂行しました。地中海での戦いが中心でしたが、常に最前線で戦い続けました。1942年に短い生涯を終えましたが、その功績はイギリス海軍の歴史に深く刻まれています。

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