ヘナロ・ガルシア

ヘナロ・ガルシア

メキシコ、ブエナベントゥーラ生まれのプロボクサー、ヘナロ・ガルシア（Genaro Garcia）は、1977年9月17日にこの世に生を受け、2013年6月21日にその生涯を終えました。右構えのファイタータイプであり、リング上ではその顔の傷跡から「スカーフェイス」という異名で知られていました。身長は164cm、リーチは168cm（2008年12月29日計測）とされています。

プロキャリアの始まりと地域王座

ガルシアのプロボクシングキャリアは、1994年3月4日に幕を開けました。キャリアの初期には、後にIBF世界バンタム級チャンピオンとなる強豪ラファエル・マルケス（メキシコ）との対戦も経験しています。2000年11月12日に行われたこの一戦では、ガルシアが2回KO勝利を収めるという、注目すべき結果を残しました。

その後、ガルシアは地域タイトル戦線で活躍します。2003年2月21日、空位となっていたWBC中米カリブ（WBC Fecarbox）バンタム級王座を獲得しました。このタイトルをガルシアは堅実に防衛し、2005年4月28日までに5度の防衛に成功しています。

世界王座への挑戦

地域王者としての実績を積み上げたガルシアは、世界タイトル挑戦の機会を得ます。初めての世界戦は、2005年11月13日に日本の日本武道館で行われました。当時WBC世界バンタム級チャンピオンだった長谷川穂積への指名挑戦者としてリングに上がります。試合では、ガルシアは得意のプレッシャーをかけて積極的に前進し、王者長谷川を苦しめる場面も見られましたが、2度のダウンを喫し、最終的に0-3の判定で敗れ、王座獲得はなりませんでした。

2度目の世界挑戦は、2007年7月7日でした。空位となっていたIBF世界バンタム級王座を懸け、ルイス・アルベルト・ペレスと対戦します。しかし、この試合では7回KOで敗退し、再び世界王座に手が届きませんでした。

3度目の世界挑戦は、階級をスーパーバンタム級に上げてからでした。2009年1月3日、パシフィコ横浜にて、WBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃に挑みます。これが最後の世界タイトル戦となりましたが、試合中に2度のダウンを奪われ、12回TKOで敗れる結果となりました。しかし、この試合におけるガルシアの、強烈なパンチを浴びても決して後退せず前進し続けるタフなファイトスタイルは、対戦相手である西岡利晃に「マッチョ」と称賛され、敬意を表されるほどでした。

世界挑戦の合間にも、ガルシアは実力者たちと拳を交えました。2009年11月20日には、後にWBO世界スーパーバンタム級王者となるウィルフレド・バスケス・ジュニアとWBOラテンアメリカスーパーバンタム級暫定王座決定戦を行いましたが、7回TKOで敗れ、暫定王座獲得も叶いませんでした。この試合を最後に、ガルシアは一旦現役からの引退を表明します。

引退からの復帰、そして悲劇的な終焉

ボクシング界から一度は離れたガルシアでしたが、約3年のブランクを経て現役復帰を果たします。2012年1月7日、復帰戦では2回TKO勝利を収め、健在ぶりを示しました。復帰後もいくつかの試合に出場し、再びリングで戦い続けていました。

しかし、彼のキャリアは突然の悲劇に見舞われます。2013年6月21日、数日後に控えた試合のための練習に向かう途中、ガルシアは強盗に襲撃されてしまいます。そして、この襲撃により銃撃を受け、35歳という若さでその命を奪われました。

ヘナロ・ガルシアは、世界王座には届きませんでしたが、その果敢なファイトスタイルと決して諦めない精神で多くのファンを魅了したボクサーでした。彼の突然の死は、ボクシング界に大きな衝撃を与えました。

• ---

もう一度検索