ヘルツェゴビナ＝ネレトヴァ県

ヘルツェゴビナ＝ネレトヴァ県は、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦を構成する県の一つで、ヘルツェゴビナ地方の西部に位置しています。県都はモスタルであり、ネレトヴァ川が県内を流れ、その流域に多くの集落が点在しています。

基礎自治体

県内には以下の9つの基礎自治体があります。

チャプリナ (Čapljina)
チトルク (Čitluk)
ヤブラニツァ (Jablanica)
コニツ (Konjic)
モスタル (Mostar) - 県都
ネウム (Neum)
プロゾル＝ラマ (Rama)
ラヴノ (Ravno)
ストラツ (Stolac)

地理

ヘルツェゴビナ＝ネレトヴァ県の特筆すべき点として、ボスニア・ヘルツェゴビナで唯一、アドリア海に面した海岸線を持つことが挙げられます。ネウムの町はその海岸線に位置し、観光地としても知られています。ネウム周辺には、古代イリュリア人の遺跡も点在しており、歴史的な魅力も備えています。

県最大の都市であるモスタルは、ボスニア・ヘルツェゴビナ全体でも5番目に大きな都市です。モスタルの象徴であるスタリ・モスト（古い橋）は、紛争で破壊されましたが、2004年に再建され、再び人々の往来を繋いでいます。しかし、内戦終結後も、モスタルはネレトヴァ川を挟んで、クロアチア人とボシュニャク人の間で分断された状況が続いています。

その他の主要な町としては、チャプリナ、コニツ、ヤブラニツァ、そして聖母マリアの出現地として知られるメジュゴリエなどがあります。ヤブラニツァとコニツは、第二次世界大戦の激戦地であり、ヤブラニツァにはその戦いを記録した博物館があります。

ネレトヴァ川は、コニツ、ヤブラニツァ、モスタル、チャプリナといった県内の主要な町を流れ、クロアチアを経てアドリア海へと注ぎます。また、県内にはヤブラニツァ湖という人造湖も存在します。

人口

ヘルツェゴビナ＝ネレトヴァ県は、クロアチア人とボシュニャク人が混在する地域であり、民族的な分断が残っています。チャプリナ、チトルク、ネウム、プロゾル・ラマ、ラヴノ、ストラツではクロアチア人が多数派を占めており、ヤブラニツァとコニツではボシュニャク人が多数派です。県中央部のモスタルでは、両民族の人口が拮抗しています。

2003年の調査によると、県の人口は219,223人で、その内訳は以下の通りです。

クロアチア人: 110,714人 (50.5%)
ボシュニャク人: 102,019人 (46.5%)
セルビア人: 5,486人 (2.5%)
* その他: 1,004人 (0.5%)

ヘルツェゴビナ＝ネレトヴァ県は、多様な民族と文化が共存する一方で、紛争の傷跡も残る地域です。今後の発展のためには、民族間の融和と協力が不可欠です。

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