ヘルマン2世 (ツェリェ伯)

ヘルマン2世：ツェリェ伯家の躍進を導いた英雄

ヘルマン2世（1360年頃 - 1435年10月13日）は、ツェリェ伯、ザゴリエ伯、オルテンブルク伯として知られ、ハンガリー王、後の神聖ローマ皇帝ジギスムントの忠実な支持者であり、義父でもありました。彼のジギスムントへの支持は、スラヴォニアにおける広大な領土と特権の獲得につながり、カルニオラ公国の行政官、スラヴォニア、クロアチア、ダルマチアのバンを歴任、1427年にはボスニア王国の推定相続人として認められました。ヘルマン2世の死後、ツェリェ伯は帝国諸侯となり、その権勢は絶頂を迎えました。

生涯と業績

ヘルマン2世は、ツェリェ伯ヘルマン1世とその妻カタリナの次男として生まれました。当時のツェリェ伯は、サヴィニャ川沿いの領土を支配し、カルニオラの大部分とシュタイエルスカの一部を領有するハプスブルク家の封臣でした。母カタリナはコトロマニッチ家の出身で、ボスニアのバンスティエパン2世の娘、またはボスニア王国の初代国王スティエパン・トヴルトコ1世の娘であるとも言われています。兄ハンスの早逝後、1385年に父ヘルマン1世が亡くなると、ヘルマン2世は唯一の相続人となりました。1392年には従兄弟ヴィリェムが死去し、ツェリェ伯を継承しました。

1396年、ニコポリスの戦いにおいて、ヘルマン2世はジギスムントの命を救いました。この功績により、ジギスムントからヴァラジュディン、ザゴリエの領土を与えられ、ツェリェ伯はスラヴォニア最大の領主となり、「ツェリェとザゴリエの伯」を名乗るようになりました。ハンガリー内戦では、反乱軍によってジギスムントが捕らえられますが、ヘルマン2世はハンガリーへの侵攻をちらつかせ、ジギスムントの釈放に成功しました。その後、ガライ家との関係を強化し、1402年には姪アンナがポーランド王ヴワディスワフ2世と結婚、1405年には末娘バルバラがジギスムントと結婚するなど、ポーランド王家との繋がりも築きました。

1406年、ヘルマン2世は「ダルマチアとクロアチアのバン」、「スラヴォニアのバン」に任命され、クロアチア王国で最も強大な勢力となりました。また、ドラゴン騎士団の初期の団員でもありました。1418年にオルテンブルク伯フリードリヒ3世が亡くなると、オルテンブルク伯領を継承し、ケルンテンの大部分を支配下に置きました。1423年にはハプスブルク家から封建的覇権を放棄させ、帝国特権を獲得。帝国諸侯となることを目指しましたが、ハプスブルク家の反対により失敗に終わったようです。

1426年、ボスニア王国がオスマン帝国の脅威にさらされる中、ボスニア王スティエパン・トヴルトコ2世はハンガリーの保護を要請。ジギスムントは、トヴルトコ2世の推定相続人としてヘルマン2世を認めることを条件に同意しました。しかし、ボスニア貴族はハンガリーの影響力が増大することを恐れ、この要求に反発しました。1427年、トヴルトコ2世が亡くなった場合、ヘルマン2世が相続するという条約が締結されました。

死とその後

ヘルマン2世は1435年10月13日に亡くなり、プレテリェ修道院に埋葬されました。トヴルトコ2世が8年後に亡くなったため、ヘルマン2世がボスニア王になることはありませんでした。しかし、彼の死の翌年、ツェリェ伯は帝国諸侯として認められました。ヘルマン2世の遺産は、長男フリデリク2世が継承しました。

ヘルマン2世は、ツェリェ伯家を一地方貴族から中央ヨーロッパ有数の貴族に押し上げた傑出した人物です。ジギスムントの王権強化を助けた一方で、ハンガリー貴族からは、王を操る利己的な人物として悪評を買うこともありました。

家族構成

妻：シャウンベルク伯ハインリヒ7世の娘アンナ
子供：
フリデリク2世（1379年頃 - 1454年）：フランコパン家のエリザベタ、ヴェロニカ・デセニシュカと結婚
ヘルマン3世（1380年頃 – 1426年7月30日）：アーベンスベルク伯女エリザベト、バイエルン公エルンストの娘ベアトリクスと結婚
ルドヴィク（1380年代 - 1417年）：オルテンブルク伯フリードリヒの養子となる予定だった
アンナ：ハンガリーのガライ家のニコラス2世と結婚
エリーザベト（1426年死去）：ゲルツ伯ハインリヒ6世と結婚
バルバラ（1396年 - 1451年）：ハンガリー王、後の神聖ローマ皇帝ジギスムントと結婚
* 非嫡出子：ヘルマン（1383年 - 1421年）：フライジング司教、トリエント司教

子孫

ヘルマン2世は、孫娘エリーザベトを通じて、ポーランドのヤギェウォ朝の最後の5人の王、聖カジミェシュ、ポーランドのヴァーサ王朝の先祖です。また、エリーザベトの妹アンナを通じて、プロイセン公、プロイセン王、ドイツ皇帝の先祖でもあります。

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