ヴァラジュディン

ヴァラジュディン：バロックの宝石箱、クロアチア北西部の古都

ヴァラジュディンは、クロアチア北西部に位置するヴァラジュディン郡の中心都市です。首都ザグレブから北へ約81km、ドラヴァ川に近いこの街は、バロック様式の美しい建築物群で知られ、織物、食品、IT産業も盛んです。

歴史

ヴァラジュディンの歴史は古く、最初の記録は1181年にハンガリー王ベーラ3世が近郊の温泉について言及したものです。1209年には自由王国都市の特権を授けられ、中央クロアチアの経済・軍事の中心として発展しました。オスマン帝国の侵攻に備え、中世の水城として要塞化された歴史を持ちます。

13世紀初頭には聖ヨハネ騎士団が教会や修道院を建設し、その後フランシスコ会に引き継がれました。14世紀末にはツェリェ伯の手に渡り、その後も多くの貴族がヴァラジュディンを所有しました。16世紀末にはエルデーディ家が郡を世襲的に保持し、1925年まで要塞を所有しました。

1756年、クロアチア総督フェレンツ・ナーダシュディが公邸を置いたことで、ヴァラジュディンはクロアチアの首都となり、サボル（クロアチア議会）の開催地、クロアチア王立会議の設置など、政治の中心地となりました。しかし、1776年の大火で街の大部分が焼失し、首都機能はザグレブへと移転しました。

19世紀には、ヴァラジュディンは再建と拡張が進み、工芸と貿易が発展しました。絹やレンガの産業が興り、劇場や音楽学校、消防署などが建設されました。20世紀には、北西クロアチアの産業中心地として成長し、織物製造業者Tivarなどが創設されました。1991年のクロアチア紛争では、ユーゴスラビア人民軍の拠点が早期に降伏したため、被害は最小限に抑えられました。

史跡

ヴァラジュディンは、クロアチア本土で最も保存状態の良い都市の一つとして知られています。

旧市街の要塞： 中世の防衛施設の好例であり、14世紀に建設が始まりました。現在は博物館として公開されています。
セルマージュ宮殿： 1750年にロココ様式で建てられた宮殿で、現在は美術館として利用されています。
タウンホール： 1523年に建てられた後期バロック様式の建物で、塔の下にはヴァラジュディンの紋章が飾られています。毎週土曜日には警備兵交替の行事が行われます。
ヴァラジュディン聖堂： 1647年に建てられたイエズス会派教会で、バロック様式の入り口や18世紀の祭壇が特徴です。
クロアチア国立劇場： ウィーンの建築家ヘルマン・ヘルマーとフェルディナント・フェルナーによって設計された劇場です。

1971年から毎年開催されているバロック音楽フェスティヴァルや、毎年9月に行われる歴史的な祭りŠpancir festは、多くの観光客を魅了しています。

経済

ヴァラジュディンは、1991年の紛争で直接的な被害を受けなかった数少ない都市の一つです。大手テキスタイル企業ヴァルテクスや食品企業ヴィンディヤ、金属加工、建設資材産業などが盛んです。2007年3月まではヴァラジュディン証券取引所が置かれていましたが、ザグレブ証券取引所に吸収合併されました。

交通

ヴァラジュディンは道路交通の便が良く、高速道路がハンガリー、ザグレブ、アドリア海、スロヴェニア、コプリヴニツァ、オシエクとを結んでいます。バスの公共交通網も発達しており、周辺の町村と結ばれています。鉄道とバス・ステーションは市中心部から徒歩圏内にあります。郊外には小さな空港もあります。

現在のヴァラジュディン

現在のヴァラジュディンは、夏の観光地として人気があります。文化的な地区、ショッピング街、スポーツ施設、そして豊かな伝統料理が楽しめます。毎年8月下旬から9月下旬にかけて開催されるシュパンシル・フェスティヴァルは、ヴァラジュディンの観光シーズンを締めくくるイベントです。

姉妹都市

ヴァラジュディンは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

バート・ラドケルシュブルク（オーストリア）
プーラ（クロアチア）
オセール（フランス）
ラーフェンスブルク（ドイツ）
コブレンツ（ドイツ）
ザラエゲルセグ（ハンガリー）
モンターレ（イタリア）
ギマランイス（ポルトガル）
トルナヴァ（スロバキア）

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