ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン

『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』は、ジャズ・ボーカリスト、ヘレン・メリルが1954年12月に録音し、翌1955年に発表した初のスタジオ・アルバムです。トランペット奏者クリフォード・ブラウンが全編に参加し、その美しい音色でアルバムを彩っています。

ブラウンは当時、エマーシー・レコード所属の女性ボーカリストのレコーディングに頻繁に参加しており、本作以前にもダイナ・ワシントンやサラ・ヴォーンといった大物歌手と共演していました。メリルにとって本作は、自身のキャリアを大きく飛躍させるきっかけとなりました。

特筆すべきは、後に大物プロデューサーとなるクインシー・ジョーンズがアレンジを手がけている点です。メリルはインタビューで、当時新進気鋭だったクインシーとの出会いを振り返り、「彼は私の近所に住んでいて、とても才能に溢れていた」と語っています。

アルバムに収録された7曲は、シングルとしても発売されました。2014年には、録音60周年を記念して、日本で3枚組シングルCDが限定発売され、オリコンチャートにもランクインするなど、その人気は衰えることを知りません。

オールミュージックのレビューでは、5点満点中4.5点という高評価を獲得し、「ブラウンの演奏は素晴らしいが、決してメリルの歌声を邪魔していない」「クール・[[ジャズ]]とハード・バップの融合に成功している」と評されています。特に日本での人気は高く、メリル自身も「“You'd Be So Nice to Come Home To”のイントロが流れると、観客が熱狂する」と語っています。

アルバム発売当初はさほど注目されていなかった「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」は、メリルの歌声とブラウンのアドリブ・ソロがジャズ・ミュージシャンの間で評判を呼び、やがてジャズ・スタンダードとして広く知られるようになりました。

収録曲

1. ドント・エクスプレイン
2. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
3. ホワッツ・ニュー
4. 恋に恋して
5. イエスタデイズ
6. ボーン・トゥ・ビー・ブルー
7. スワンダフル

パーソネル

ヘレン・メリル - ボーカル
クリフォード・ブラウン - トランペット
ジミー・ジョーンズ - ピアノ
バリー・ガルブレイス - ギター
ミルト・ヒントン - ダブル・ベース(on #1, #2, #6, #7)
オスカー・ペティフォード - チェロ、ダブル・ベース(on #3, #4, #5)
オシー・ジョンソン - ドラムス(on #1, #2, #6, #7)
ボビー・ドナルドソン - ドラムス(on #3, #4, #5)
ダニー・バンク - フルート、バリトン・サクソフォーン
クインシー・ジョーンズ - アレンジ、指揮

『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』は、ヘレン・メリルの歌声とクリフォード・ブラウンのトランペットが織りなす、時代を超えて愛される名盤です。ジャズファンはもちろん、多くの音楽ファンにおすすめしたい一枚です。

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