ヘンリー・セルマー・パリ

ヘンリー・セルマー・パリ：楽器の歴史と革新

ヘンリー・セルマー・パリ（Henri Selmer Paris）は、1885年にアンリ・セルメールによって設立されたフランスの楽器メーカーです。創業以来、サクソフォーンやクラリネットなどの管楽器を中心に製造し、その卓越した品質と革新的な技術で、世界中のミュージシャンから高い評価を得ています。日本では「セルマー」という略称で親しまれています。

セルマーの歴史

1885年、クラリネット奏者であったアンリ・セルメールは、パリでクラリネットのマウスピースとリードの製作を開始しました。1898年からはクラリネットの製造も始め、その楽器はすぐに著名な演奏家たちの間で評判となりました。アンリの弟アレクサンダーは、アメリカでセルマーの楽器を販売するためにニューヨークに店を開き、1904年にはセルマーUSA（現在のコーン・[[セルマー]]）を設立しました。1921年には初のサクソフォーンを完成させ、1929年にはサクソフォーンの創始者であるアドルフ・サックスの工房を買収しました。現在もセルマー家が経営を続けています。

セルマーの楽器

セルマーは、サクソフォーン、クラリネットをはじめ、オーボエ、ファゴット、トランペット、トロンボーン、ギターなど、様々な楽器を製造してきました。特にサクソフォーンは世界的に高い評価を得ており、多くのプロミュージシャンが愛用しています。

サクソフォーン

セルマーのサクソフォーンは、その長い歴史の中で数多くのモデルを生み出してきました。代表的なモデルを以下に紹介します。

モデル22、モデル26：初期のモデル。
シガー・カッター：独特なオクターブキーのメカニズムが特徴。
ラジオインプルーブド：シガー・カッターのマイナーチェンジ版。
バランスド・アクション：セルマーの名を世界に広めたモデル。操作性が大幅に向上。
スーパー・アクション（スーパー・バランスド・アクション）：バランスド・アクションをさらに改良。キー配置がオフセットに変更。
マーク6：セルマーをトップメーカーに押し上げた歴史的モデル。多くのプロ奏者に愛用され、サクソフォーンのメカニズムをほぼ完成形に。
マーク7：工場製手工業で製造された最後のモデル。
スーパー・アクション80（シリーズ1）：日本製サクソフォーンに対抗するために登場。独特の音程、音量、音色が特徴。
リファレンス：上級者やプロ奏者向けのモデルとして製造。
スーパー・アクション80 シリーズ2：現行モデル。初心者でも扱いやすいように改良。
シリーズ3：現代の製造技術を駆使して新設計。軽量化が図られている。
シュプレーム：シリーズ3をさらに改良した最新モデル。

これらのモデルは、それぞれ異なる特徴を持ち、様々な音楽ジャンルや演奏スタイルに対応しています。

クラリネット

セルマーは、クラリネットに関しても、ソプラニーノからコントラバスまで幅広いラインナップを揃えています。特にコントラバスクラリネットにおいては、木製かつストレート管で製造している唯一のメーカーです。ビュッフェ・クランポンと並び、クラリネットの分野でも高い評価を得ています。

マウスピース

セルマーのマウスピースは、サクソフォーンと同様に、ヴィンテージモデルが非常に人気があります。職人が一つ一つ丁寧に作った手作りのマウスピースは、現代のマウスピースにはない独特の音色と吹奏感を持っています。特に、1970年代以前に製造されたマウスピースは高値で取引されています。

セルマーは、S80、S90、スーパーセッション、ソロイストなど、様々な種類のマウスピースを製造しており、それぞれ異なる特徴を持っています。

楽器の仕上げ

セルマーの楽器は、ゴールドラッカー、シルバープレート、ゴールドプレート、ブラックラッカー、ホワイトラッカー、ブラッシュドサテン、アンティークドブラッシュドサテン、ポリッシュドサテン、プラチナプレート、ピンクゴールドプレート、スターリングシルバーなど、様々な仕上げが用意されています。これらの仕上げは、楽器の音色や外観に影響を与えます。

まとめ

ヘンリー・セルマー・パリは、130年以上にわたり、楽器製造の分野で革新を続けてきました。その楽器は、世界中のミュージシャンに愛され、音楽の歴史に大きな足跡を残しています。今後もセルマーは、伝統を守りながら、新しい技術を取り入れ、より優れた楽器を開発していくことでしょう。

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