ヘンリー・ハーバート (第4代カーナーヴォン伯爵)

第4代カーナーヴォン伯爵 ヘンリー・ハワード・モリニュー・ハーバート

ヘンリー・ハワード・モリニュー・ハーバート（1831年6月24日 - 1890年6月29日）は、イギリスの貴族であり、政治家としても活躍した人物です。彼は第3次ダービー伯爵内閣および第2次ディズレーリ内閣で植民地大臣を務め、イギリスの植民地政策に重要な影響を及ぼしました。

生い立ち

カーナーヴォン伯爵家に生まれた彼は、父が第3代カーナーヴォン伯爵に就任した後、1833年にポーチェスター卿の称号を受け承継しました。イートン校での教育を経てオックスフォード大学に入学し、1849年には父の死去に伴いカーナーヴォン伯爵位を継承しました。政治においては保守党に所属し、高教会派の信者としての立場を持っていました。

政治経歴

1858年から1859年にかけて、第2次ダービー伯爵内閣のもとで植民地省政務次官を務め、その後、1866年に成立した第3次ダービー伯爵内閣に植民地大臣として入閣します。この期間にカナダ連邦の創設に寄与しつつも、選挙権拡大に対して慎重な姿勢を保ち、同僚たちと共に閣内での法改正に反発しました。その結果、1867年に辞職しました。

1874年、保守党が総選挙で勝利すると、再び第2次ディズレーリ内閣に植民地大臣として加わります。この頃、彼は南アフリカでのトランスヴァール共和国の併合に関与し、地域の統合を進めました。併合は彼にとって重要な政策であり、南アフリカを「南アフリカ連邦」として一体化させる意図がありましたが、その進展は困難を極めました。

トランスヴァール併合と露土戦争

トランスヴァール共和国の併合は、カーナーヴォン卿にとって特に重要な出来事でした。彼はズールー族との対立や他国との関係を考慮し、南アフリカの安定を図るために併合を決定しました。また、1877年に勃発した露土戦争において、彼は対ロシアの姿勢を強め、国内の政治事情とも相まって辞職へ至りました。

その後の政治活動

カーナーヴォン卿は、自由党政権下の短期間にアイルランド総督としても活動し、アイルランド問題への取り組みを開始します。しかし、首相ソールズベリーはこの問題に慎重であり、彼の提案は受け入れられませんでした。1886年には再び政権に参加することなく、最終的に1890年に死去します。

人物像

彼は「おしゃべり屋」と称される一方で、一部の政治家からは不快感を持たれていた人物です。その理想主義的な姿勢が、時には彼を孤立させました。帝国主義に関する考えを持っており、19世紀後半のイギリスにおいて重要な理念の一つとされる「英帝国主義」を体現しようとしました。

家族および栄典

1849年にエヴェリン嬢と結婚し、のちに再婚。彼の爵位は息子に継承され、カーナーヴォン伯爵家の名も引き継がれました。学問においても評価を得ており、王立協会のフェローや様々な名誉職を持つなど、彼の人生は多岐に渡るものでした。

彼の生涯は、イギリスの政治や植民地政策に影響を与えた重要な時代を背景にしたものであり、その業績は今もなお評価されています。

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