ベイト・ノワール

ブライアン・フェリーの7枚目のソロアルバム『ベイト・ノワール』は、1987年にリリースされました。前作『ボーイズ・アンド・ガールズ』の大成功後、フェリーは新たな音楽的挑戦を試みました。

制作の背景

1985年、フェリーは30人ものミュージシャンを動員し、2年の歳月を費やして『ボーイズ・アンド・ガールズ』を制作。このアルバムは全英アルバムチャートで2週連続1位を獲得しました。さらに、1986年にはベストアルバム『ストリート・ライフ』も5週連続1位を記録。フェリーの人気は絶頂期を迎えていました。

同時期、映画『レジェンド/光と闇の伝説|レジェンド_光と闇の伝説』の主題歌「イズ・ユア・ラヴ・ストロング・イナフ？」が全英シングルチャートで22位を記録。ナイル・ロジャーズとの共作「ヘルプ・ミー」も映画『ザ・フライ』に使用され話題となりました。しかし、フェリーは所属レコード会社EGレコードとの契約問題に直面。契約満了を機に、新たなレコード会社でのリリースを希望し、これが訴訟問題に発展します。

この問題を機に、フェリーは長年連れ添ったマネージャーを解任。新たなマネージメント体制の下で、本作の制作を開始しました。レコーディングは主にパリで行われ、マドンナの作品で知られるパトリック・レナードがプロデューサーとして参加。40人を超えるミュージシャンがレコーディングに参加し、豪華なサウンドが作り上げられました。

アルバムの内容

『ベイト・ノワール』は、前作同様、全てオリジナルの新曲で構成されています。全9曲中、フェリー単独作は2曲。残りはレナード、ジョニー・マー、チェスター・ケイメンらとの共作です。

シングルカットされたジョニー・マーとの共作曲「ザ・ライト・スタッフ」は全英シングルチャートで37位を記録。アルバムは全英チャート9位と、前作ほどの成功には至りませんでした。しかし、収録曲「キッス・アンド・テル」は映画『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』で使用され、再び注目を集めました。

参加ミュージシャン

40人を超えるミュージシャンが参加しましたが、各ミュージシャンの担当楽器や曲名は明記されていません。参加ミュージシャンは以下の通りです。

マリオ・アブラモビッチ、タワサ・アギー、マイケル・ブルーム、スチュアート・ブリード、ヴィニー・コライウタ、ミシェル・コブス、パウリーニョ・ダ・コスタ、ダイアモンド・アート、レット・デイヴィス、サイモン・ドレイパー、ヤニック・エティエンヌ、シーダ・ギャレット、デヴィッド・ギルモア、ヒルトン・サウンド、ニール・ハバード、ダン・ハフ、ポール・ジャーヴィス、ポール・ジョンソン、チェスター・ケイメン、アブラハム・ラボリエル、パトリック・レナード、ホセ・リベルテッラ、ジュリー・ロッシュ、ブライアン・ルークス、ジミー・マエレン、ジョニー・マー、マーカス・ミラー、アンディ・ニューマーク、コートニー・パイン、ガイ・プラット、アンドリュー・リード、ジョン・ロビンソン、ビル・ルパート、アルバート・サンチェス、スカイライン、ルイス・スタソ、アリスター・セイン、フォンジー・ソーントン、マイケル・バーディック、レニー・ワロンカー、デヴィッド・ウィリアムス

ツアー

アルバムリリース後、フェリーは1988年から1989年にかけて、ロキシー・ミュージック解散後約5年ぶりとなるツアーを実施。バンドメンバーにはアンディ・ニューマーク（ドラムス）、ジェフ・サル（ギター）、ニール・ハバード（ギター）らが参加。1988年10月には日本公演も行われました。このツアーの模様はVHS『New Town』として発表され、後にDVD『The Bête Noire Tour』として再発されました。

収録曲

（LP）

(CD)はLPと同じ

『ベイト・ノワール』は、ブライアン・フェリーの音楽的進化を示す重要な作品であり、彼のソロキャリアにおける新たな章の始まりを告げるアルバムとなりました。

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