ベイロナルド

ベイロナルド：競走馬としての平凡と種牡馬としての偉大なる成功

ベイロナルド（1893年5月3日 - 1907年5月）は、イギリスで生まれたサラブレッドの競走馬であり、種牡馬としてその名を歴史に刻んだ馬です。競走馬としての成績は決して華々しいものではありませんでしたが、種牡馬として残した功績は計り知れません。彼の血統は、後の競馬界に大きな影響を与えることになるのです。

輝かぬ競走馬時代

レイボーングランジ牧場で誕生したベイロナルドは、遅生まれで体格も小柄でした。ドンカスターのセリ市では落札されず、レオナルド・ブラッシー氏によって500ポンドで購入されました。
2歳時は5戦して最高でも3着という結果に終わります。3歳になってから8戦2勝を挙げ、ニューマーケット競馬場のライムキンステークスとロウザーステークスで勝利を収めます。ダービーやジョッキークラブステークスには出走しましたが、いずれも着外でした。4歳では6戦1勝と勝ち数は減少したものの、強豪馬相手に善戦するようになり、エクリプスステークスで3着、チャンピオンステークスで2着に入るなど、着実に力を付けていきました。5歳時も7戦2勝と安定した成績を残し、アスコットゴールドカップにも挑戦するも、馬場の悪さに苦しみ敗退しました。しかし、ハードウィックステークスで2着、チャンピオンステークスではヴェラスケスに1馬身差まで迫るなど、実力者としての片鱗を見せました。

種牡馬としての華麗なる転身

競走馬を引退したベイロナルドは、1899年からプレストン牧場で種牡馬としてのキャリアをスタートさせます。初年度の種付け料は25ギニーでしたが、最晩年には100ギニーにまで上昇しました。しかし、種付け数は多くなく、牝馬の質にも問題があったとされています。初期の産駒は目立った活躍はしませんでしたが、フランスで活躍したマクドナルドIIなど、一部の産駒が活躍を見せ始めます。

ベイロナルドの真価が明らかになったのは、彼がイギリスに残した産駒が活躍し始めた時です。1905年生まれのダークロナルドは、2歳時から活躍し、ロイヤルハントカップやプリンセスオブウェールズステークスなどを制覇しました。そして、1906年生まれのバヤルドは、セントレジャーステークスを制覇するなど、クラシック戦線で活躍しました。これらの活躍により、ベイロナルドの種牡馬としての評価は劇的に向上します。

他にも、Combourg（カドラン賞、ロワイヤルオーク賞）、Fidia（ミラノ大賞典）、Greffulhe（ノアイユ賞）、Rondeau（プランテーションステークス、テディの母馬）など、多くの優れた産駒を残しています。

血統と遺産

ベイロナルドの父は、当時すでに大種牡馬として知られていたハンプトンです。母は、2000ギニー優勝馬ガリアードの産駒であるブラックダッチェスでした。彼の血統背景には、二冠牝馬チェリーラスや大種牡馬ブランドフォードといった名馬も含まれており、その優れた遺伝子が、彼の成功を支えたと言えるでしょう。

1907年、14歳でこの世を去ったベイロナルド。彼の競走馬としてのキャリアは平凡なものだったかもしれませんが、種牡馬として残した功績は、ダークロナルドやバヤルド、そしてその後の数多くの名馬へと繋がる、競馬史に燦然と輝くものとなりました。彼の血統は、現在でも世界中の競馬界に影響を与え続けています。

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