ベニバナイチヤクソウ

ベニバナイチヤクソウ（紅花一薬草）

ベニバナイチヤクソウ（学名：Pyrola asarifolia subsp. incarnata）は、ツツジ科イチヤクソウ属に分類される常緑性の多年草です。かつてはイチヤクソウ科として扱われていましたが、APG植物分類体系の変更により、現在はツツジ科に含まれています。

特徴

ベニバナイチヤクソウは、特徴的な葉と花を持つ植物です。

葉: 葉には長さ3-5cmの葉柄があり、葉身は円形または卵状楕円形で、長さ3-4.5cm、幅2-3.5cmになります。葉の先端は丸みを帯び、基部は円形またはわずかに心形になります。葉の縁には、目立たない細かな鋸歯が見られます。
花: 花期は6月から8月上旬にかけてです。葉の間から高さ15-25cmの花茎が伸び、総状花序を形成し、8-15個の花を咲かせます。花茎は赤みを帯びており、1-3枚の広披針形の鱗片葉があります。苞は狭長楕円形で、先端は短く尖っています。萼片は5個で、それぞれが離れており、狭卵形で長さは幅の2倍、長さ2-3mm、幅1-1.5mmです。花は桃色から濃い桃色で、花弁は5個あり、それぞれが離れて直径約13mmの広鐘形となり、下向きに咲きます。花柱は湾曲しており、長さ6-8mmで、柱頭は小さく5裂します。果実は直径約7mmの蒴果です。

種小名の asarifolia は、「カンアオイ属のような葉の」という意味を持ちます。

分布と生育環境

ベニバナイチヤクソウは、日本国内では北海道、本州の中部地方以北に分布しています。山地帯から高山帯下部の草地、低木林、林縁などで見られます。イチヤクソウ属の他の種とは異なり、群生することが多いのが特徴です。国外では、朝鮮半島、中国東北部、シベリア、カムチャツカ、アラスカに分布しています。

シノニム

ベニバナイチヤクソウには、以下のシノニムがあります。

Pyrola asarifolia Michx. var. incarnata (DC.) Fernald
Pyrola asarifolia Michx. var. purpurea (Bunge) Fernald
Pyrola incarnata (DC.) Fisch. ex Freyn
Pyrola rotundifolia L. var. incarnata DC.

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類』、1981年、平凡社
豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』、1988年、山と溪谷社
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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