イチヤクソウ科

イチヤクソウ科（Pyrolaceae）は、双子葉植物に属する科であり、約4属30種から構成されています。日本国内には、イチヤクソウやウメガサソウなど、4属11種程度が自生しています。

分類の変遷

従来の植物分類体系では、イチヤクソウ科は独立した科として認識されていました。しかし、分子系統学的研究が進展した結果、現在のAPG植物分類体系では、ツツジ科（Ericaceae）に内包されることとなりました。

形態と生態

イチヤクソウ科の植物は、すべて草本であり、森林に生育します。多くは常緑性の多年草です。分布域は広く、北半球の亜寒帯から温帯、さらには中米や西インド諸島の熱帯地域にまで分布しています。近縁のシャクジョウソウ科（Monotropaceae）は腐生植物であり、イチヤクソウ科に含める場合もあります。サリチル酸メチルを多く含むため、特有の芳香を放つ種も存在します。

葉は互生し、花は両性花で、4〜5数性の放射相称です。花は茎の先に単生するか、散房花序または総状花序を形成します。花冠は白色または赤色を帯びます。子房は上位で、4〜5室に分かれています。果実は蒴果であり、微細な種子を多数含んでいます。

栽培

イチヤクソウ科の植物は、その美しい花から山草として栽培されることがあります。しかし、特殊な菌根を形成する必要があるため、栽培は容易ではありません。

APG植物分類体系における位置づけ

APG植物分類体系では、イチヤクソウ科はツツジ科のイチヤクソウ亜科（Pyroloideae）として扱われます。ツツジ科の中で、シャクジョウソウ亜科とイチヤクソウ亜科のみが草本です。

属

イチヤクソウ科には、以下の属が含まれます。

ウメガサソウ属 (Chimaphila)
イチゲイチヤクソウ属 (Moneses)
コイチヤクソウ属 (Orthilia)
イチヤクソウ属 (Pyrola)

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