ベニヘラサギ

ベニヘラサギ（紅箆鷺、学名：Platalea ajaja）は、ペリカン目トキ科に属する鳥類で、その鮮やかなピンク色の羽毛が目を引く美しい鳥です。ヘラサギの仲間であり、特徴的なヘラ状の嘴を持っています。

分布

ベニヘラサギは、アメリカ大陸に広く分布しています。具体的には、メキシコ湾沿岸から中央アメリカ、南アメリカ、そして西インド諸島にかけて生息しています。これらの地域では、湿地や湖沼、河川などの水辺環境で見ることができます。

形態

成鳥の体長は69cmから81cm程度で、翼を広げると約120cmになります。頭部と喉は皮膚が露出しており、緑褐色をしています。首から背中にかけては白色ですが、体の下部になるにつれてピンク色を帯びてきます。特に翼や腰のあたりは鮮やかなピンク色になり、非常に美しいです。前胸には赤色の房状の飾り羽があり、これがアクセントとなっています。嘴はやや黄色がかった灰色で、足は黒赤色をしています。

幼鳥は成鳥と比べて、体色のピンク色が薄く、全体的に淡い色合いをしています。嘴は黄色く、頭部はほとんど羽毛に覆われています。幼鳥は約3年かけて成鳥の羽色に変化します。

生態

ベニヘラサギは、湖沼、河川、湿地などの水辺に生息しています。食性は主に動物食で、魚類、甲殻類、昆虫類などをヘラ状の嘴で水底をすくい取るようにして捕食します。また、植物の種子などを食べることもあります。

繁殖期には、コロニー（集団繁殖地）を形成します。しばしば、トキコウ類やサギ類と混合コロニーを形成することもあります。繁殖期になると、雄は巣材を集め、雌が樹上に巣を作ります。1回の繁殖で2個から5個の卵を産み、抱卵期間は23日から24日程度です。抱卵と育雛は雌雄共同で行います。雛は孵化後約35日から45日で巣立ちます。

その他

ベニヘラサギの鮮やかなピンク色の羽毛は、食事に含まれる色素によるものです。特に甲殻類を多く食べることで、この特徴的な色になると考えられています。

ベニヘラサギは、その美しい姿から多くの人々に愛されています。保護活動も行われており、その生息環境を守ることが重要です。

参考文献：

『世界の動物｜分類と飼育　コウノトリ目+フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年、94頁

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