ベネディクトゥス15世 (ローマ教皇)

ベネディクトゥス15世

ベネディクトゥス15世（在位：1914年9月3日 - 1922年1月22日）は、激動の時代にローマ教皇としてカトリック教会を導きました。本名はジャコモ・デッラ・キエーザ。第一次世界大戦という未曽有の惨劇の中、教皇として平和を希求し、戦後の教会のあり方を模索しました。

生涯

1854年、ジャコモ・デッラ・キエーザはジェノヴァの貴族の家に生まれました。彼は当初、バチカンの外交官を目指し、法学の博士号を取得。マリアノ・ランポッラ枢機卿に見出され、教皇庁で重要なポストを歴任し、ついには国務省長官にまで昇りつめます。1907年にはボローニャの大司教に任命され、1914年には枢機卿に叙任されました。

第一次世界大戦勃発直後の1914年、ピウス10世の崩御を受け、キエーザは教皇に選出され、ベネディクトゥス15世を名乗ることになります。

教皇としてベネディクトゥス15世は、バチカンの不偏中立を宣言。紛争の調停者として和平を実現するために奔走しました。しかし、19世紀以降の教会と国家の間に生じた溝は深く、彼の声はなかなか届きませんでした。それでも彼は諦めず、世俗国家間の仲介者としてのバチカンの地位を確立しようと尽力。その努力は戦後になってようやく実を結び始めましたが、志半ばにして1922年1月に崩御しました。彼の死後、エストニアとの間でコンコルダート（宗教協約）が締結されています。

ベネディクトゥス15世は、正教会との対話再開を目指したことでも知られています。東西教会の分裂以来、途絶えていた対話の糸口を見出そうと試みました。

また、在位中にはジャンヌ・ダルクやリジューのテレーズを含む4名を列聖し、ルイーズ・ド・マリヤックなど36名を列福しました。

ベネディクトゥス15世の平和への強い願いと、教会と世界の関係に対する深い洞察は、現代においても重要な示唆を与え続けています。

業績

第一次世界大戦における調停努力
バチカンの中立維持
正教会との対話推進
聖人・福者の列聖・列福

外部リンク

Benedict XV - バチカン公式サイト
中井晶夫「教皇ベネディクト15世の和平工作とドイツ帝国宰相ゲオルク・ミヒャエーリス」『上智史学』第37巻、上智大学、1992年11月、313-339頁

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