ベル 214ST

ベル214STは、UH-1ヒューイシリーズを基に開発された中型の双発ヘリコプターであり、ベル・ヘリコプター社が製造した機種の中で最大のものです。ベル214と名称が似ていますが、214STはより大型で、外観も大きく異なります。

設計と開発

ベル214ST（当初は"Stretched Twin"、後に"Super Transporter"と呼ばれていました）は、1625 shpのゼネラル・エレクトリックCT7-2Aターボシャフトエンジンを2基搭載し、16名から17名の乗客を収容できます。

この機体は、元々ベル214Bビッグリフターの派生型として、特にイランでの製造を視野に入れ、イラン政府の資金援助を受けてベル・ヘリコプター社で開発されました。1977年2月にテキサス州で最初の試作機が初飛行し、1978年には3機の確定試作機が続きました。

しかし、イラン革命の影響で、ベル・ヘリコプター社は214STの製造拠点をダラス-フォートワース工場に移し、生産計画を軍用モデルから民間モデルへと変更しました。その後、軍用モデルも1982年に生産が開始されました。

214STは、ベル・ヘリコプター社の製品として、以下のような革新的な機構を導入しています。

無潤滑で1時間運転可能なトランスミッション
グラスファイバー製のローターブレード
無潤滑ローターヘッドベアリング
スキッドまたは車輪を選択可能な降着装置

ベル・ヘリコプター社は、1988年にイラクに納入された45機の軍用モデルを含め、合計100機の214STを製造しました。その他には、ブルネイに1機、ペルーに11機、タイ王国に9機、ベネズエラに4機が販売されました。214STの製造は1991年に終了しています。

日本国内での運用

日本国内では、合計3機が輸入されました。

JA9609(S/N 28117)は1991年12月11日に、JA9688(S/N 28176)は1992年8月13日に登録が抹消されました。残った国土交通省関東地方整備局が所有・使用するJA9683(S/N 28175)も、2018年9月11日に登録が抹消されています。

運用の歴史

イラクの機体を除き、39機の214STが現役で使用されています。特に石油会社では、その長い航続距離と双発エンジンが沖合いでの運用に重宝されています。

運用状況

軍事運用
ブルネイ - 1機
ドバイ
エクアドル
イラン
イラク - 45機 (湾岸戦争中にイラク軍が運用していた1機が米海兵隊によって鹵獲されました)
オマーン
ペルー - 11機
フィリピン
タイ - 9機
ベネズエラ - 4機
民間運用
カナダ
CHCヘリコプター
日本
朝日航洋 （国土交通省関東地方整備局の災害対策用ヘリコプターとして運航）
イギリス
ブリストウ・ヘリコプター
ブリティッシュ・カレドニアン・ヘリコプターズ
アメリカ合衆国
エアロジスティクス （ブリストウ・グループの傘下）
ヘリコプター・トランスポート・サービス
プレジデンシャル航空
エバーグリーン・ヘリコプターズ

要目

(ベル 214ST)

乗員: 1名または2名
搭載量: 乗客16名または17名、または同等の貨物
全長: 15.03 m (49 ft 4 in)
全高: 4.84 m (15 ft 11 in)
主ローター直径: 15.85 m (52 ft 0 in)
空虚重量: 4,300 kg (9,481 lb)
最大離陸重量: 7,938 kg (17,500 lb)
エンジン: 2 × ゼネラル・エレクトリック CT7-2A ターボシャフト、1,625 shp (1,215 kW)
最高速度: 259 km/h (161 mph)
巡航速度: 256 km/h (159 mph)
航続距離: 858 km (533 sm)
上昇率: 9.0 m/s (1780 ft/min)

関連項目

ベル 214
ベル 212
アグスタウエストランド AW139
ウエストランド 30

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