ベルギー軍

ベルギー軍

ベルギー軍は、ベルギー王国の軍事組織であり、その歴史は1830年のベルギー独立革命に遡ります。

歴史

独立革命から第一次世界大戦まで

ベルギーは独立後、ヨーロッパ列強の中立国として認められました。第一次世界大戦直前には、フランス、ドイツという大国に挟まれ、リエージュやナミュールに要塞群を構築し、総兵力34万人に達していました。防衛方針は、要塞による遅滞防御と、列強の支援を待つというものでした。

第一次世界大戦では、ドイツ軍がシュリーフェン計画に基づきベルギーに侵攻。ベルギーはドイツの最後通牒を拒否し、徹底抗戦しました。ベルギー軍は橋や鉄道を破壊し、ドイツ軍の進撃を遅らせ、フランス軍に防衛の余裕を与えました。国土の大部分を占領されながらも、ベルギー軍は国土北西部を防衛し続けました。

第二次世界大戦とその後

第一次世界大戦後、ベルギーは再び中立政策に回帰しましたが、第二次世界大戦でドイツ軍に侵攻され、占領されました。レオポルド3世国王は降伏しましたが、亡命政府と自由ベルギー軍が結成され、連合軍と共に戦いました。

第二次世界大戦後は中立政策を放棄し、集団安全保障政策を基盤とするようになりました。1949年には北大西洋条約機構（NATO）に加盟し、西ドイツ防衛に兵力を提供しました。1967年以降、NATO本部がブリュッセルに置かれています。

冷戦終結後は、兵力削減が進められましたが、国際貢献のための実力は維持されています。

現在のベルギー軍

2002年以降、ベルギー軍は単一の統合軍組織となり、陸上部隊、海上部隊、航空部隊、医療部隊の4部隊で構成されています。

任務

主な任務は、NATOや欧州連合（EU）との協調による国家防衛、および平和維持活動への協力です。

組織

名目上の総司令官は国王であり、国防省の監督を受けます。作戦指揮は国防大臣および参謀長を通じて行われます。兵員数は現役約4万人、予備役約10万人です。

各部隊の概要

陸上部隊 (COMOPSLAND): 約25,000名。2個旅団と1個空挺連隊を基幹とし、陸上兵力の提供を行います。装軌式装甲戦闘車両は退役し、現在はピラーニャIIIやパンドゥールIなどの装輪装甲車を装備しています。
海上部隊 (COMOPSNAV): 約2,500名。哨戒警備や掃海を主任務とし、フリゲートや掃海艇を装備しています。
航空部隊 (COMOPSAIR): 約8,000名。航空兵力や航空輸送サービスの提供を行います。F-16戦闘機やC-130輸送機などを装備しています。
医療部隊 (COMOPSMED): 約2,000名。医療サービスの提供や人道支援活動にあたります。

ベルギー軍は、限られた資源の中で多国間作戦能力の向上と機動性の確保に努めています。

安全保障政策

ベルギーの基本的な安全保障政策は、NATO、西欧同盟、EUとの協調にあります。また、国連平和維持活動にも積極的に協力しています。

もう一度検索