ベルシャザールの饗宴 (ウォルトン)

ベルシャザールの饗宴

『ベルシャザールの饗宴』は、20世紀イギリスを代表する作曲家、ウィリアム・ウォルトン（1902-1983）が手がけた、バリトン独唱、混声合唱とオーケストラのための壮大なカンタータです。1931年にリーズ音楽祭で初演されて以来、この作品はイギリスの音楽史において重要な金字塔となり、特に合唱の分野で今日まで非常に高い人気を誇っています。この大作は、ウォルトンがまだ20代、独学で作曲を始めて間もない頃に完成されたという点で注目に値します。

テクストの背景

作品のテクストは、詩人オズバート・シットウェルによって旧約聖書と新約聖書『ヨハネの黙示録』を基に構成されました。中心となっているのは、旧約聖書『ダニエル書』に記されたベルシャザールの饗宴の物語です。

物語は、ユダヤ人がバビロニア帝国によって故郷を追われ、捕囚の身となっていた時代を背景にしています。バビロニアの王ベルシャザールは、イスラエルから略奪した聖なる器を用いて盛大な宴を開き、自らの神々を賛美すると同時に、ユダヤ人の神ヤハウェを冒涜します。その最中に、突如として壁に謎の文字が現れるという奇跡が起こり、予言通りベルシャザールは命を落とし、強大だったバビロニア帝国は崩壊します。これにより、捕囚の憂き目にあったユダヤ人は解放されることになります。

当初、本作はBBCからの小規模な合唱作品として委嘱されたものでした。しかし、作曲に時間を要するウォルトンが制作に取り組むうちに、構想が大きく膨らみ、結果として現在知られるような大規模な作品へと発展していったのです。

楽曲の構成と特徴

本作は非常に大規模な編成を要求します。通常のオーケストラに加え、オルガン、任意でピアノ、さらには任意で二組の金管バンド、大編成の打楽器群が加わります。声楽パートとしては、8声部からなる混声合唱と小合唱隊、そしてバリトン独唱が起用されます。合唱隊は基本的にユダヤ人民を象徴しますが、ベルシャザール王の宴を描写する場面では、バビロニア人の役も担います。

楽曲全体はいくつかの部分に分かれていますが、休憩なしで通して演奏されます。

短い序奏の後、合唱とバリトン独唱によって、有名な「詩篇」第137番（「バビロンの川のほとりで」）に基づいて、故郷シオンへの追慕の念が歌い出されます。やがて、捕囚の身となった苦境と、捕らえた者たちへの激しい怒りや呪詛の感情が表されます。

物語が進むと、長い音楽的連なりの中で、ユダヤ人の抱える恐怖や、ベルシャザール王の不遜な行いに対するどうしようもない憤りが描かれます。続いて、威圧的な行進曲が現れ、王と廷臣たちによる偶像崇拝の光景が音楽化されます。この部分は、特徴的な下降する四つの音符のモチーフによって区切られます。この音型はオーケストラ全体に引き継がれながら繰り返され、その後に即座にシンコペーションを用いた、ジャズに影響されたかのような躍動的な部分へと移行します。

クライマックスでは、控えめな管弦楽法によって、壁に謎の文字が現れる神秘的な場面と、ベルシャザール王の死が不気味に描写されます。ユダヤ人民は自由の喜びを分かち合い、歓喜の合唱を歌いますが、その中で大都市バビロンの崩壊を嘆くバビロニア人の声が交錯します。

楽曲全体を通して、複雑なリズムと色彩豊かな管弦楽法が際立っています。ウォルトンは、聖書の壮大な物語を音楽で語るために、彼が関心を寄せていたジャズなどのポピュラー音楽のリズムやハーモニーも巧みに取り入れています。

受容と評価

初演時、本作はその書法や音楽の複雑さから「前衛的」と見なされる向きもありましたが、根幹となる調性は常に安定しており、極端に冒険的な作品ではありませんでした。非常に大規模な編成、特に金管楽器の増強は、ベルリオーズの『テ・デウム』に匹敵する響きを意図したもので、これは指揮者のトーマス・ビーチャム卿の助言によるところが大きかったと伝えられています。

初期の批評の中には、『タイムズ』紙の評論を筆頭に、「ウォルトンの音楽にはユダヤ人とバビロニア人の倫理的な違いが表現されていない。両者の場面で音楽が同様に祝祭的、あるいは悦楽的である」という指摘がありました。しかし、ウォルトンのような作曲家にとって、テクストはそのままの歴史的・倫理的背景よりも、音楽表現を自由に展開するためのインスピレーション源としての側面が強かったと考えられます。また、実際にテクスト（歌詞）の内容を見れば、その違いは明確です。ユダヤ人は序盤で復讐を誓う荒々しい言葉を歌い、最終的な勝利は賛美と感謝を込めて表現されます。「ハレルヤ、大いなるバビロンは滅んだ」と歌い上げられる箇所では、バビロンの滅亡を悼むバビロニア人の声が重ねられます。

指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンはこの作品を「20世紀で最も優れた合唱作品の一つ」と称賛したことが知られていますが、彼自身が頻繁に演奏したり、録音を残したりした事実は少ないようです。それでも、本作は初演後すぐに成功を収め、今日に至るまで演奏され続けています。人気作品でありながら、残念ながら世界的に見ると頻繁に録音されているとは言いがたい状況ですが、ウォルトン自身の指揮による演奏を含む、イギリスのオーケストラや合唱団による優れた録音はいくつか存在します。

もう一度検索