リーズ音楽祭

リーズ音楽祭（Leeds Festival）

リーズ音楽祭は、イギリスのウェスト・ヨークシャー州、リーズ市において、1858年から1985年まで、特定の期間に規則的な間隔で開催された歴史的な音楽祭です。この音楽祭は、長年にわたりクラシック音楽、特に合唱作品や管弦楽作品の重要な発表の場として、英国音楽史に大きな足跡を残しました。

歴史と変遷

音楽祭の起源は、1858年に遡ります。この年、リーズ・タウン・ホールの開館を記念する盛大な祝い事として、第1回目の音楽祭が開催されました。初日には、ドイツの作曲家メンデルスゾーンによるオラトリオ《エリヤ》が演奏され、祭典の幕開けを飾りました。

最初の開催からしばらく間が空き、第2回目は1874年に行われました。これ以降、リーズ音楽祭は定期的な開催サイクルを確立し、1970年まで実に3年ごとの間隔で継続されました。この周期的な開催により、音楽祭はリーズの文化的なランドマークとなり、国内外から注目を集めるイベントへと成長しました。

しかしながら、時代の流れと共に音楽祭の形式や運営にも変化が現れ、1985年をもって、その長い歴史に終止符が打たれました。この年の開催が、リーズ音楽祭として最後の機会となりました。

リーズ音楽祭合唱団

音楽祭の活動から派生した組織として、リーズ音楽祭合唱団が挙げられます。この合唱団は、もともと音楽祭のために臨時編成されたものでしたが、1976年には独立した自主運営団体として歩み始めました。現在もなお、活発な演奏活動や録音活動を継続しており、音楽祭の遺産を現代に伝える重要な役割を担っています。

委嘱・初演された主な作品

リーズ音楽祭の最も特筆すべき功績の一つは、数多くの著名な作曲家から重要な楽曲を委嘱し、あるいはその初演の機会を提供したことです。これらの作品の中には、その後の音楽史において重要な位置を占めるようになったものも少なくありません。以下に、音楽祭によって委嘱または初演された主な楽曲の一部を紹介します。

ウィリアム・スタンデール・ベネット：カンタータ《五月の女王》（1858年）
アーサー・サリヴァン：カンタータ《黄金伝説》（1886年）
アントニン・ドヴォルザーク：オラトリオ《聖ルドミラ》（1886年）
エドワード・エルガー：カンタータ《カラクタクス》（1898年）、交響的習作《フォルスタッフ》（1913年）、合唱曲《イェルサレム》（ヒューバート・パリー原曲、エルガー編、1922年）
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ：《未知なる世界へ》（1907年）、《海の交響曲》（1910年）
チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード：《艦隊の歌》（1910年）
グスターヴ・ホルスト：《死への頌歌》（1922年）、《合唱交響曲》（1925年）
ウィリアム・ウォルトン：カンタータ《ベルシャザールの饗宴》（1931年）、カンタータ《ロンドン市の栄誉を称えて》（1937年）
エリック・フォッグ：《四季》（1931年）
ジョージ・ダイソン：《鍛冶屋たち》（1934年）
ベンジャミン・ブリテン：《夜想曲》（1958年）
ピーター・ラシーン・フリッカー：オラトリオ《審判の幻想》（1958年）
アレクサンダー・ゲール：カンタータ《サッターの黄金》（1961年）
リチャード・ロドニー・ベネット：《エピタラミオン》（1967年）

これらのリストからもわかるように、リーズ音楽祭は、特に英国の作曲家たちの創作活動を支援し、彼らの大作を世に送り出す上で極めて重要な役割を果たしました。エルガー、ヴォーン・ウィリアムズ、ウォルトンといった英国音楽復興期以降の主要な作曲家たちが、この音楽祭のために作品を提供しています。また、ドヴォルザークのような国際的な作曲家の作品も初演されており、その影響力の大きさがうかがえます。

1世紀以上にわたるその歴史の中で、リーズ音楽祭は数々の名演と重要な初演を生み出し、英国の音楽文化の発展に大きく貢献しました。今日ではその直接の開催は終了しましたが、リーズ音楽祭合唱団の活動などを通じて、その精神は受け継がれています。

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