ベルリンの行政区

ベルリンの行政区

ベルリンの行政区（ドイツ語: Berliner Bezirke）は、ドイツの首都ベルリンを構成する12の行政区を指します。2001年1月1日の行政改革により、現在の12区体制が確立しました。これらの区は、ベルリン州憲法に基づき、自治の原則に従い地域の行政事務を担っています。

行政区の役割

ベルリンの各区は、区庁を通じて行政事務を管掌し、区長がその長として各区に置かれています。人口規模で見ると、ベルリンの区は郡に相当しますが、ベルリン州は都市州であるため、郡レベルの行政は存在しません。区は独立した地域団体ではなく、独自の法人格や自治体としての地位を持たない「ベルリンの法人格のない自治単位」と定義されています。

大ベルリン成立までの都市構成

初期

13世紀には、シュプレー川沿いにベルリンとケルンの双子都市が都市権を獲得しました。1307年には両都市が共同で市参事会を組織し、都市壁を共有しました。しかし、1442年に選帝侯フリードリヒ2世によって両都市は再び分割されました。17世紀には、大選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムによって大規模なベルリン要塞が建設され、ベルリンとケルンに加えて、城壁外の市街地であるフリードリヒスヴェルダーとノイ＝ケルンも含まれるようになりました。

18世紀のベルリン

18世紀初頭、ベルリンはベルリン、ケルン、フリードリヒスヴェルダー、ドロテーエンシュタット、フリードリヒシュタットを統合し、「王国首都兼国王居城ベルリン」となりました。この時期には、ベルリン税関壁に囲まれた市街地が10の地区で構成されていました。

• - ベルリン
• - ケルン
• - フリードリヒスヴェルダー
• - ノイ＝ケルン
• - ドロテーエンシュタット
• - フリードリヒシュタット
• - シュパンダウアー・フィアテル
• - ケーニヒスシュタット
• - シュトラーラウアー・フィアテル
• - ケーペニッカー・フィアテル

19世紀の自治体構成

19世紀には、プロイセン都市条例の導入により、ベルリンの行政機構が刷新されました。都市は数千人規模の「区」に区画され、区長や仲裁人などが置かれました。ベルリンは当初100区に分けられ、その後人口増加に伴い、区の数は増えていきました。1861年には270区、1884年には326区、そして1920年の大ベルリン成立時には450区以上に膨張しました。これらの区は「市区」へと集約されましたが、自治組織は置かれませんでした。1884年には21の市区が存在していました。

• - ベルリン
• - アルト＝ケルン
• - フリードリヒスヴェルダー
• - ドロテーエンシュタット
• - フリードリヒシュタット
• - ウンテレ・フリードリヒスフォアシュタット
• - シェーネベルガー・フォアシュタット
• - オーベレ・フリードリヒスフォアシュタット
• - テンペルホーファー・フォアシュタット
• - ルイーゼンシュタット・イェーンザイツ・デス・カナールス
• - ルイーゼンシュタット・ディースザイツ・デス・カナールス
• - ノイ＝ケルン
• - シュトラーラウアー・フィアテル
• - ケーニヒスフィアテル
• - シュパンダウアー・フィアテル
• - ローゼンターラー・フォアシュタット
• - オラーニエンブルガー・フォアシュタット
• - フリードリヒ＝ヴィルヘルム＝シュタット
• - ティーアガルテン
• - モアビート
• - ヴェディングおよびゲズントブルンネン

ベルリンの行政区画定

1920年の大ベルリン成立

1920年10月1日、大ベルリン法によって、ベルリンは7つの独立市と周辺の村々、知行区域を統合し、20の行政区に区画されました。これらの区は、旧市域から編成された6区と、編入された都市や村から編成された14区で構成されました。各区には旧都市や村の名前が採用され、地区（Ortsteil）が制定されました。

• - ミッテ
• - ティーアガルテン
• - ヴェディング
• - プレンツラウアー・ベルク
• - フリードリヒスハイン
• - クロイツベルク
• - シャルロッテンブルク
• - シュパンダウ
• - ヴィルマースドルフ
• - ツェーレンドルフ
• - シェーネベルク
• - シュテーグリッツ
• - テンペルホーフ
• - ノイケルン
• - トレプトウ
• - ケーペニック
• - リヒテンベルク
• - ヴァイセンゼー
• - パンコウ
• - ライニッケンドルフ

1938年のベルリン区画改革

1938年4月1日には、多くの区で境界線が変更され、大規模な区画変更が行われました。例えば、アイヒカンプ住宅団地がヴィルマースドルフ区からシャルロッテンブルク区へ、またグルーネヴァルトの大部分がヴィルマースドルフ区からツェーレンドルフ区へと移管されました。

第二次世界大戦後の区画

第二次世界大戦終結直後、在独ソ連軍政府は一時的にフリーデナウを21番目の区としましたが、後にシェーネベルク区に戻されました。

ベルリン分断時代

ヤルタ会談によってベルリンは四か国分割占領都市となり、占領区域は既存の区境界線に基づいて決定されました。その後、東西ベルリンが分断され、それぞれ独自の行政機構が設置されました。

東ベルリン

東ベルリンでは、「区」が「都市区」に改称されました。1970年代から1980年代にかけて、大規模な住宅団地が建設され、マルツァーン区、ホーエンシェーンハウゼン区、ヘラースドルフ区が新たに編成されました。

• - フリードリヒスハイン都市区
• - ヘラースドルフ都市区
• - ホーエンシェーンハウゼン都市区
• - ケーペニック都市区
• - リヒテンベルク都市区
• - マルツァーン都市区
• - ミッテ都市区
• - パンコウ都市区
• - プレンツラウアー・ベルク都市区
• - トレプトウ都市区
• - ヴァイセンゼー都市区

西ベルリン

西ベルリンには12の区がありました。

• - シャルロッテンブルク区
• - クロイツベルク区
• - ノイケルン区
• - ライニッケンドルフ区
• - シェーネベルク区
• - シュパンダウ区
• - シュテーグリッツ区
• - テンペルホーフ区
• - ティーアガルテン区
• - ヴェディング区
• - ヴィルマースドルフ区
• - ツェーレンドルフ区

東西ドイツ統一後

1990年の東西ドイツ統一後、ベルリンは一時的に23区体制となりました。しかし、2001年の行政改革によって現在の12区体制に再編されました。多くの新設区は旧区の合併によって成立しましたが、ノイケルン区、ライニッケンドルフ区、シュパンダウ区は現状維持となりました。現在のパンコウ区とミッテ区は、それぞれ近隣3区が合併して成立しました。

• - ミッテ区
• - フリードリヒスハイン＝クロイツベルク区
• - パンコウ区
• - シャルロッテンブルク＝ヴィルマースドルフ区
• - シュパンダウ区
• - シュテーグリッツ＝ツェーレンドルフ区
• - テンペルホーフ＝シェーネベルク区
• - ノイケルン区
• - トレプトウ＝ケーペニック区
• - マルツァーン＝ヘラースドルフ区
• - リヒテンベルク区
• - ライニッケンドルフ区

区の下位区画としての地区

行政区の下位区画である地区（Ortsteil）は、1920年の大ベルリン法に規定されています。地区は、区議会と区長の一致した決議によって制定され、市参事会の承認を得る必要があります。旧自治体が区の境界線によって分割された場合、分割された部分がそれぞれ地区となります。地区の境界は、時代とともに変化し、小規模な地区の改廃や、新興住宅団地の建設によって、新たな地区が誕生しました。

東ベルリンの地区制度

東ベルリンでは1965年から地区が制定されなかったため、1970年代後半に都市区を新設する際にも、既存の地区境界は考慮されませんでした。東西統一後に地区制度が再導入された際には、同名の地区が2つの区に存在するという稀な事態も発生しました。

近年の地区の動向

2001年以降、いくつかの地区が変更され、1961年から1989年に建設された大規模な高層住宅団地が反映されています。西ベルリンではハンザフィアテル地区、グロピウスシュタット地区、メルキッシェス・フィアテル地区が代表的であり、東ベルリンでは、大規模な住宅団地に対して区を新設することで対応してきました。2012年にはライニッケンドルフ区のヴィテナウ地区からボルジヒヴァルデ地区が分離し、ベルリンで96番目の地区となりました。

まとめ

ベルリンの行政区は、その歴史の中で複雑な変遷を遂げてきました。大ベルリン成立以前の都市構成から、東西分断時代の状況、そして統一後の再編まで、様々な要素が絡み合って現在の形を形成しています。この記事を通じて、ベルリンの行政区の歴史、構造、そしてその変化を理解する一助となれば幸いです。

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