ベンポスタ宮殿

ベンポスタ宮殿：リスボンの歴史を彩る新古典主義の宮殿

ベンポスタ宮殿は、ポルトガルの首都リスボンのベンポスタ地区に位置する、新古典主義様式の美しい宮殿です。その歴史は17世紀に遡り、王族の住居として建設されて以来、様々な変遷を経て現在に至ります。

キャサリン・オブ・ブラガンザとベンポスタ宮殿の誕生

物語は、ポルトガル王ジョアン4世の娘、キャサリン・オブ・ブラガンザが1693年に故郷リスボンに戻ったことから始まります。イギリス王チャールズ2世の妃であった彼女は、住む場所を必要としていました。そこで、キャサリンはベンポスタ宮殿の建設を命じ、以後長年にわたり、この宮殿を居城としました。

王族の住居から陸軍学校へ

1705年にキャサリンが亡くなると、宮殿は弟のペドロ2世に引き継がれ、その後ジョアン5世によってカサ・ド・インファンタード（ポルトガル王の次男の財産）に移されました。1755年のリスボン地震後には、建築家マヌエル・カエターノ・デ・ソウザによる大規模な再建が行われましたが、王族が他の住居に移るにつれて、宮殿は徐々に使われなくなっていきました。1798年には、すでに廃墟のような状態だったと言われています。

しかし、1803年、ジョアン6世が宮殿を再び住居として使用することを決め、1822年、1824年、1825年には、居住に適した状態にするための改修工事が行われました。1828年には、ミゲル1世が宮殿で毎週会見を開くなど、再び重要な場所としての役割を果たしました。

1837年、マリア2世は宮殿をポルトガル陸軍に譲渡し、大規模な改築を経て、1851年にポルトガル陸軍学校として新たな歴史を歩み始めました。1853年には、これまで私有であった礼拝堂が一般に公開され、多くの人々が訪れる場所となりました。

2001年には、キャサリン・オブ・ブラガンザの功績を称え、宮殿の正面に記念碑が設置されました。

新古典主義様式の建築美

ベンポスタ宮殿は、新古典主義様式で設計されており、その構造は、石灰岩や大理石などの素材と、鉄筋、木材、石材を組み合わせた混合構造となっています。建築家のジョアン・アントゥネスは、宮殿の設計を担当し、元々この場所にあった1501年建設のチャペルを宮殿の設計に取り入れました。

宮殿正面のファサードには、メインフロアへと続く2つの階段があり、手すり子のあるベランダが設けられています。礼拝堂のアトリウムには、イサベル・デ・アラゴン・イ・シシリアと洗礼者ヨハネの像が飾られています。

ベンポスタ宮殿は、その美しい建築様式と豊かな歴史を通じて、リスボンの街に深く根付いています。かつて王族が暮らしたこの場所は、現在では陸軍学校として新たな役割を担いながら、多くの人々にその魅力を伝えています。

もう一度検索