ベースボールスターズ

概要

『ベースボールスターズ』は、日本のゲームメーカーであるSNKが、同社の展開する家庭用ゲーム機およびアーケードゲーム基板であるネオジオ向けに開発・発売した野球ゲームシリーズを指す名称です。ファンからはしばしば「ベースタ」という略称で親しまれています。ネオジオでのシリーズ展開が始まる以前の1989年には、内容が異なるファミリーコンピュータ版『ベースボールスター めざせ三冠王』がリリースされていました。

主なタイトル

本シリーズのネオジオにおける主なタイトルは以下の通りです。

ベースボールスターズプロフェッショナル（BASEBALLSTARS PROFESSIONAL）

1990年にアーケードゲームとして稼働を開始し、同年4月26日にはネオジオ専用ソフトとしても発売されました。このタイトルもまた「ベースタプロ」と略されることがあります。本作のタイトルロゴは、メディア展開やゲーム内のオープニングで異なるデザインが使用されている点が特徴です。

後年には様々なプラットフォームへの移植が行われ、ハムスターが展開するアーケードアーカイブス（アケアカNEOGEO）シリーズの一環として、2018年5月17日にPlayStation 4|PlayStation_4、Xbox One、Nintendo Switch版が、2019年3月15日にはWindows 10版が、そして2023年3月30日にはiOSおよびAndroid版がそれぞれ配信されています。さらに、2024年12月12日発売予定のNintendo Switch向けパッケージソフト『アケアカNEOGEO セレクション Vol.2』にも収録が予定されています。

ベースボールスターズ2（BASEBALLSTARS2）

1992年にアーケードで稼働を開始し、ネオジオ版は同年4月24日に発売されました。このタイトルのロゴは、強調された数字の「2」の背景に、初代『ベースボールスターズプロフェッショナル』の広告などで使われた「BASEBALLSTARS」の部分を組み合わせたデザインとなっています。

本作もまた幅広いプラットフォームに移植されており、2007年11月13日にはWiiのバーチャルコンソールで配信されました。さらに、アケアカNEOGEOシリーズとして、2019年3月21日にXbox OneとNintendo Switch版が、同年3月22日にPlayStation 4|PlayStation_4版が、2019年12月20日にはWindows 10版が、そして2023年9月28日にはiOSおよびAndroid版が配信されています。今後の展開としては、2025年4月10日発売予定のNintendo Switch用パッケージソフト『アケアカNEOGEO セレクション Vol.3』への収録も発表されています。

ユニークな登場チーム（プロフェッショナル）

『ベースボールスターズプロフェッショナル』の大きな特徴の一つは、非常にバラエティ豊かなコンセプトを持つ登場チームの数々です。現実の野球チームとは一線を画す、個性的な球団とその所属選手がゲームを彩ります。

アメリカン・ドリームス: アメリカの著名人やメジャーリーグの名選手をモデルにしたチームで、バランスの取れた能力を持つ選手が多い傾向にあります。
ジャパン・ロビンス: 日本の著名人やプロ野球選手をモチーフとしたチームで、特定の能力に秀でた、いわゆる「一芸型」の選手が多いのが特徴です。
サムライ・ウォーリアーズ: 武将や武士をテーマにした架空のチーム。打撃力や投手の変化球能力は高い反面、全体的に走力が低い傾向が見られます。グラフィックもちょんまげを結った選手が多く、ビジュアル面でもコンセプトが表現されています。
ニンジャ・ブラックソックス: 忍者をモチーフにしたチーム。パンチ力は控えめですが、走力に優れた選手が多く、左利きの選手が比較的多いのも特徴です。選手グラフィックは全員が忍者装束を身にまとっています。
ワールド・パワーズ: 世界各国の軍人をテーマにしたチームで、特に長打力がセールスポイントです。
ヨウカイ・モンスターズ: 妖怪やモンスターをコンセプトにしたチーム。選手の能力が極端に偏っていることが多く、グラフィックも妖怪に似せた独特のものです。
ファンタジー・ヒロインズ (FH): アニメに登場する女性キャラクターをイメージしたチーム。長打力は全体的に低めです。
エスエヌケイ・バタリアンズ: SNK作品のキャラクターで構成された、いわばSNK版オールスターチーム。全体的に能力が低く、登場チームの中では最弱とされています。特に『サイコソルジャー』のアテナがマスコットキャラクターとして登場するなど、ファンサービス的な要素も含まれます。
ハリウッド・スーパースターズ: 映画の主人公や登場人物をテーマにしたチーム。選手の能力やグラフィックにもそれぞれのキャラクターの個性が反映されています。
バトル・ナイツ: 西洋の騎士をコンセプトにしたチーム。選手のグラフィックは全員が鎧を着用しており、アーサー王物語、特に円卓の騎士から着想を得た選手が多く登場します。全体的に走力が低い傾向があります。
シャドウ・デモンズ: 悪魔をモチーフにしたチーム。選手のグラフィックは全員が顔におしろいを塗ったような独特の表現がされています。
ホワイツ・シャインズ: 天使をイメージしたチーム。選手のグラフィックは全員金髪で、幸運の値が総じて高いという特徴があります。一部にはパラメータが満点の選手も存在し、ゲーム内では強豪チームの一つとして位置づけられています。ギリシャ神話やローマ神話、星座に由来する名前の選手が多く見られます。
スペース・プラネッツ: 惑星などの天体の名前を冠したチーム。選手のグラフィックは全員がサングラスをかけており、チーム全体が俊足揃いである点が特徴です。
マイティ・アストロボーイズ (MA): アニメの主人公キャラクターをイメージしたチーム。エースで4番の「ヒュウマ」をはじめ、「アトム」「ゴクウ」「ルパン」など、様々なアニメ作品を連想させる名前の選手が登場します。選手グラフィックは全員が眼鏡を着用しています。
フラワー・エンジェルス: 花の名前を持つ女性キャラクターで構成されたチームです。
テンサイ・ブレインズ: 歴史上の科学者や芸術家といった偉人をテーマにしたチーム。「エジソン」「アインシュタイン」「ダヴィンチ」など、著名な人物をモチーフにした選手が登場します。

これらのユニークなチーム構成は、シリーズ、特に『ベースボールスターズプロフェッショナル』を語る上で欠かせない魅力となっています。

評価

『ベースボールスターズプロフェッショナル』は、ゲームメディアによる評価も受けています。例えば、『ネオジオフリーク』誌による1997年のレビューでは、レビュアーによって4点と1点に分かれる評価（合計5点満点中5点）が見られました。4点をつけたレビュアーは、魔球の存在や女子チームといった遊び心のある要素、対戦プレイの楽しさに言及する一方で、1人プレイのシンプルさを指摘しています。一方、1点をつけたレビュアーは、アメコミ調のビジュアルや分かりにくいチーム名を挙げ、単にタイミングを合わせるだけでホームランが出るなど、運に左右されるゲーム性を批判しました。また、ネオジオCD版は、『ファミコン通信』のクロスレビューで40点満点中21点という評価を受けています。

これらの評価からは、本作が持つユニークな世界観や対戦の面白さを評価する声がある一方で、ゲームシステムのシンプルさや運の要素に対する指摘もあったことがうかがえます。シリーズ全体としては、ネオジオというプラットフォームの初期を支え、個性的な野球ゲームとして一定の存在感を示した作品と言えるでしょう。

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