ネオジオ

ネオジオ：アーケードの興奮を家庭に──その歴史と技術

ネオジオ (NEOGEO) は、SNK（旧社）が開発・販売した家庭用および業務用ゲーム機、そしてシステムウェアの名称です。「新たなる大地」を意味するこの言葉は、当時、革新的なゲーム体験を約束する象徴として輝いていました。キャッチコピーは「Advanced Entertainment System」。家庭用ゲーム機として開発されながら、業務用市場にも展開されたネオジオは、ゲーム業界に大きな影響を与えました。

アーケードとの互換性 を追求したネオジオは、家庭用ゲーム機としては異例の高性能を誇りました。発売当初は、ゲームセンターへの設置や1プレイ制での運用も行われていましたが、初期はライトユーザー層への浸透は限定的でした。しかし、対戦型格闘ゲームブームが到来すると、その真価を発揮し、人気を博すようになりました。全国の玩具店やデパートでの販売も開始され、ネオジオは一気に知名度を高めていきました。本稿では主に家庭用ネオジオ（ロムカセット版）を解説しますが、業務用ネオジオであるMVSとの共通点にも触れていきます。

ハードウェア

ネオジオのハードウェア開発は、SNKのサードパーティーであったアルファ電子（後のADK）が担当しました。

ロムカセット

家庭用および業務用ゲームソフトは、2枚の基板をプラスチック製カートリッジに収めたロムカセットで提供されました。家庭用と業務用では形状が異なり、家庭用の方が大型です。ゲームの起動は、カートリッジを本体にセットし、電源投入後にリセットボタンを押すというシンプルな方法でした。スーパーファミコンやメガドライブと比較して2倍以上のサイズを誇り、その分、データ容量も圧倒的に大きく、「アーケードゲーム並みのクオリティを家庭で楽しめる」という大きな魅力を備えていました。

カセットは地域を問わず互換性があり、日本国外版カセットを日本国内版本体でプレイしたり、その逆も可能でした。ただし、言語設定は本体BIOSによって決定されるため、日本国外版カセットでも日本国内版本体で使用すれば日本語表示となります。さらに、社外品の変換アダプタを使えば、業務用カセットも家庭用本体でプレイできます。なお、容量表記は当時の業界慣習に従い、メガ[ビット]を「MB」と表記していました。

コントローラー

家庭用ネオジオのコントローラーは、レバー式のファイティングスティックが採用されました。軽めの重量感と、ゆるやかな弧を描くボタン配置が特徴です。NEOGEOCD付属のコントローラーはパッド式ですが、差込口が同じため互換性がありました。

CD-ROM、メモリーカード

ネオジオCDおよびネオジオCD-ZではCD-ROMメディアを採用しました。（詳細はネオジオCDの項目を参照）ゲームのセーブデータは、PCMCIA規格準拠のPCカード型メモリーカードに保存されました。容量は2KBと小さく、保存可能なタイトルも28本に制限されていました。セーブ機能を活用したゲームは少なかったものの、格闘ゲームではゲームオーバー時のステージをセーブし、続きからプレイするのに活用されました。業務用の一部筐体にもメモリーカードスロットが搭載されており、家庭用と業務用でのデータ共有が可能でした。電池切れ防止のため、SRAMカードの代用も可能でした。

起動時のアニメーションとBGM

ネオジオを起動すると、「NEO・GEO」または「NEOGEO」のロゴが表示され、その後、文字と背景の色が反転します。「（文字列）PRO-GEAR SPEC」と「SNK」のロゴが表示されるのが特徴です。「（文字列）」の部分は、初期作品では「MAX 330 MEGA」、後に「GIGA POWER」と変化しました。これらの表記はロムカセットの容量に関連すると言われていますが、正確な意味は不明瞭です。

起動時のBGMは、メーカーによって音色が異なるのが特徴です。SNK作品と異なるBGMを採用したメーカーには、ADK、NMK、彩京、エイティング、ザウルス、サミー工業、サン電子、データイースト、テクモ、ナスカ、ビデオシステム、フェイス、夢工房などがあります。それぞれの音色は、開発会社の歴史や特徴を反映していると言えるでしょう。

100メガショック

1992年頃からは、ロムカセット容量が100メガビットを超える作品が登場し、「100メガショック」というキャッチコピーが使用されました。これに伴い、起動時に「THE 100 MEGA SHOCK!」のアニメーションが追加された作品もありました。

MVSとの違い

家庭用ネオジオとMVSのゲーム画面の違いは、「CREDITS」表示の位置です。ネオジオ版は画面下左右に表示されます。

周辺機器

ネオジオには、メモリーカード、RFコンバータ、RGBケーブル、ACアダプタなどの周辺機器が存在しました。また、ネオジオCD用周辺機器の一部は互換性がありました。

非ライセンス品

MVSコンバーター

業務用MVS版カートリッジを家庭用ネオジオ本体でプレイ可能にする変換機器です。「phantom-1」や「NEO SUPER SNK MVS CONVERTOR」など複数の製品が存在します。

NeoSaveMasta

メモリーカードの互換製品で、FeRAMを使用し電池不要、純正16枚分のセーブデータ保存が可能です。

ユニバースバイオス (UNIVERSE BIOS)

家庭用と業務用両モードの使用、チート機能、ジュークボックス機能などを追加するBIOSです。オフィシャル版とフリー版が存在します。

ソフトウェア

2004年の『サムライスピリッツ零スペシャル』をもって、日本国内でのネオジオソフト開発は終了しました。しかし、その後も非ライセンス作品がリリースされています。例えば、2005年にドイツのゲーム開発チームNG:DEV.TEAMが開発した『LAST HOPE』は、高額にも関わらず、熱狂的なネオジオファンから支持を得ました。

販売展開

業務用ネオジオ：MVS

MVSは、ゲームソフトをロムカセット化することで、ゲームセンターでのソフト交換を容易にしたシステムです。筐体レンタルによる収益化や、小規模ゲームコーナーへの設置など、新たなビジネスモデルを確立しました。特に、移動可能なSCシリーズは人気を博しました。2004年まで14年間にわたりソフト供給が行われました。

家庭用ネオジオ

1990年 4月26日に発売された家庭用ネオジオは、アーケードゲーム並みの高性能で、熱心なゲームファンから高い支持を得ました。レンタルサービスも展開され、メーカー公認のゲームレンタルの先駆けとなりました。

ネオジオCD

CD-ROMメディアを採用したネオジオCDは、より大容量のゲームを提供可能にしました。

ネオジオ生産終了の理由

2004年、SNKプレイモアはネオジオの生産を終了しました。最大の理由は、海賊版やエミュレーターによるコピー問題です。対策が講じられましたが、長年の解析によって容易に回避されてしまったためです。

生産終了後

一部の国では業務用ゲーム機として利用され続けました。2010年には20周年記念ページが公開され、補修部品の供給も一時的に再開されました。

内蔵型ゲーム機

2012年にはNEOGEO X、2018年にはネオジオミニ、2019年にはネオジオアーケードスティックプロが発売されました。これらは、過去のネオジオ作品を内蔵した、新たなゲーム機です。

他機種でのソフトウェア展開

PS2、Wii バーチャルコンソール、PS3/PSPネオジオステーション、Windows向けプロジェクトEGG、Xbox 360 Xbox Live Arcade、アーケードアーカイブス「アケアカNEOGEO」など、様々なプラットフォームでネオジオソフトが移植・配信され、現在でも楽しむことができます。

後継機種

SNKプレイモアは、後継機種として「クリスタルシステム」を開発しましたが、実質的な成功には至りませんでした。ネオジオの多くのタイトルは、ATOMISWAVE、Taito Type Xといったプラットフォームに移行しました。

脚注

（脚注の内容は省略）

参考文献

（参考文献の内容は省略）

外部リンク

株式会社SNK オフィシャルサイト

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