ペイティーエム

インド発のフィンテック巨人、Paytmの全貌

Paytm（ペイティーエム）は、インドを代表するフィンテック企業であり、親会社であるOne97 Communicationsによって2010年に設立されました。インド国内を中心に3億5000万人以上のアクティブユーザーを抱え、電子決済サービスを軸に、電子チケット販売、Eコマース、ネット銀行、オンラインゲームなど多岐にわたる事業を展開しています。また、日本のフィンテック企業であるPayPayへ技術提供を行うなど、国際的な影響力も持ち始めています。

設立と急成長の歴史

Paytmは、2010年にプリペイド式モバイルリチャージサイトとしてスタートしました。創業者のビジャイ・シェカル・シャルマが、中国で携帯電話決済を目にしたことから着想を得て、2013年に「Paytm Wallet」を設立しました。

2016年11月には、インド政府による高額紙幣廃止政策を背景に、Paytm Walletはインド最大のモバイル決済プラットフォームへと急成長を遂げました。1億5000万以上のウォレットと7500万件のアプリダウンロード数を記録し、その取引量と収益は大幅に増加しました。

さらに、Paytmは事業拡大のため、三輪タクシー配車サービスや地元商店の配達サービス企業への投資、消費者行動予測プラットフォームや地元サービススタートアップの買収などを積極的に行いました。

潤沢な資金調達

Paytmは、国内外の多くの投資家から多額の資金を調達しています。2015年には、インドの実業家ラタン・タタや、アリババグループの金融子会社アント・フィナンシャルからの出資を受けました。2017年にはソフトバンクグループから14億ドルの巨額出資を受け、企業価値は80億ドルに上昇。また、2018年にはバークシャー・ハサウェイからも出資を受け、企業価値は100億ドルを超えました。しかし、2023年にはアリババが、2024年にはソフトバンクグループが全株式を売却し、新たな局面を迎えています。

決済銀行としての展開

2015年、Paytmはインド準備銀行から決済銀行「Paytm Payments Bank Limited」の設立ライセンスを取得しました。これにより、デビットカード、貯蓄口座、オンラインバンキング、送金などの新しいサービスを提供し、キャッシュレス経済の実現を目指しています。決済銀行は、創業者のシャルマ氏が過半数の株式を保有し、One97 Communicationsが一部を保有する独立した企業として運営されています。

近年の動向

2016年の高額紙幣廃止以降、電子マネー需要が急増し、Paytmは急速に利用者を拡大しました。2017年には、請求書支払いサービスを開始し、Paytm Walletユーザー向けに決済銀行を開設しました。また、イベントや物件向けのプラットフォーム「Insider.in」を買収し、オンラインとオフラインの販売を強化しています。

2018年には、ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPayに技術提供を開始しました。2021年にはインド国内の証券取引所に上場し、過去最大規模のIPOを達成しました。

多様なサービスと製品

Paytmのサービスは、ブラウザ、Android、iOSなどのプラットフォームを通じて利用可能です。統合された請求書支払いシステム「Bharat Bill Payment System」にも対応しており、多様な支払い方法を提供しています。

Paytm Walletアプリでは、航空券やタクシーの予約、モバイル充電、公共料金の支払いなどが可能です。また、ガソリンスタンドでの燃料代の支払いや映画館のチケット購入にも利用できます。PaytmのECサイトでは、電子機器、家電製品、衣料品など、幅広い商品を購入できます。さらに、バイクや車の予約、デジタルゴールドの購入も可能になっています。

今後の展望

Paytmは、インド国内での電子決済サービスをさらに強化するとともに、海外展開も視野に入れていると見られます。技術提供先のPayPayとの連携を深め、グローバルなフィンテック企業としての地位を確立することが期待されます。

今後も、Paytmの動向から目が離せません。

参考資料

* Paytm公式サイト

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