ペガサス (ロケット)

ペガサスロケット：空中発射ロケットの先駆け

ペガサスロケットは、アメリカのオービタル・サイエンシズ社（現ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ）が開発した空中発射ロケットであり、その主な用途は人工衛星の打ち上げです。スタートレックシリーズに登場するU.S.S.ペガサスにちなんで命名されました。

概要

ペガサスロケットは固体燃料ロケットであり、巡航ミサイルに似た有翼型の形状をしています。ペイロードを軌道に投入するために、通常は3段式の構成が用いられます。最大の特徴は、航空機に搭載され、空中から発射される点にあります。

世界初の空中発射型の人工衛星打ち上げロケットであり、翼を持つ飛翔体としては初めてマッハ8に到達しました。初期のペガサスロケットは、X-15の実験などで使用されたNASAのNB-52Bによって、マッハ0.8、高度約12kmから発射されました。後期型のペガサス・ハイブリッドとペガサスXLは、OSCが保有するスターゲイザーによってほぼ同等の条件で発射されています。

人工衛星の打ち上げ以外にも、NASAのスクラムジェットエンジン実験機X-43を、スクラムジェットエンジンの稼働速度域まで加速させるブースターとして使用された事例もあります。

2013年6月の42回目の打ち上げでIRISを打ち上げて以降、一時中断がありましたが、2016年12月にCYGNSSを打ち上げました。しかし、その後は2019年10月のICONの打ち上げなど、打ち上げ回数は減少傾向にあります。

空中発射による利点と問題点

ペガサスロケットが分離される高度は、安定軌道最低高度のおよそ10%であり、分離時の速度であるマッハ0.8は第一宇宙速度の3%に相当します。これにより、地上から発射するよりも小型のロケットで同等のペイロードを打ち上げることができ、機体コストを大幅に削減できます。また、発射は高度12kmの成層圏で行われるため、天候に左右されずに発射できるという利点があります。これは、打ち上げ時間帯が限られる科学衛星や、即応性が求められる衛星の打ち上げにおいて有利となります。

しかし、空中発射ロケットは低コストな運用を可能にする一方で、母機の年間維持費が固定費となるため、年間の打ち上げ機数が減少すると打ち上げ費用が増大するという問題があります。ペガサスでは1機あたり600万ドルでの打ち上げを目指していましたが、受注機数が予想を下回り、1992年の段階で1250万ドルに達しました。その後、母機や1段、2段などの構成が変更されたことで費用はさらに上昇し、近年では年間1機体制で4000万ドルにもなっています。これにより、当初目指していた低コストでの運用は困難となり、約1.5倍のペイロードで1900万ドルだったミニットマン弾道ミサイル転用ロケットのミノタウロスIに顧客が流れるという状況も生まれています。

構成・諸元

ペガサスロケットは、3段のOrion固体ロケットモーターで構成されています。軌道投入精度を向上させるために、オプションとして液体上段（HAPS：Hydrazine Auxiliary Propulsion System）を搭載することも可能です。姿勢制御は、初段がデルタ翼と3枚の尾翼によって、上段はMNTVCによって制御されます。

ペガサス

最初期の構成であり、6機が打ち上げられ、4機が成功しました。

ペガサス・ハイブリッド

母機がNB-52Bからスターゲイザー（ロッキード L-1011 トライスター改造機）に変更されました。4機が打ち上げられ、全て成功しています。2009年現在、ペガサス・ハイブリッドにおいて第4段HAPSが用いられたことはありません。

ペガサスXL

最も一般的な構成であり、30機が打ち上げられ、3機が失敗しています。

打ち上げ実績

（ペイロードの括弧内の数字は搭載機数）

[打ち上げ実績のデータは省略]

ギャラリー

[ギャラリーの画像に関する記述は省略]

脚注

[脚注に関する記述は省略]

関連項目

ロケット
空中発射ロケット
オービタル・サイエンシズ
スターゲイザー

外部リンク

Northrop Grumman - Pegasus （英語）

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