ペット・セメタリー (2019年の映画)

作品概要

『ペット・セメタリー』は、2019年に製作されたアメリカ合衆国のホラー映画です。著名な作家スティーブン・キングが1983年に発表した同名小説を原作としており、1989年の映画化に続く2度目の映像化作品となります。監督はケヴィン・コルシュとデニス・ウィドマイヤーが共同で手掛け、主人公の医師ルイス・クリードをジェイソン・クラークが演じました。

ストーリー

医師のルイス・クリードは、妻レイチェル、幼い娘のエリー、息子のゲイジ、そして家族の一員であるネコのチャーチと共に、ボストンからメーン州の静かな町ルドローへ引っ越してきました。一家は新しい生活を始めたばかりでしたが、ある日、エリーが森の奥で出会ったのは、動物の遺体を運び葬る子供たちの行列でした。その場所は地元で「ペット・セメタリー」（ペットの墓地）と呼ばれており、近所に住む老人のジャド・クランドールは、その森のさらに奥深くに立ち入ることの危険性をルイスに警告します。

引っ越し後間もない頃、ルイスは大学病院で交通事故により瀕死の重傷を負った学生、ヴィクター・パスコウの命を救うことができませんでした。その夜、ルイスは生々しい夢を見ます。夢の中でヴィクターに導かれペット・セメタリーに辿り着きますが、ヴィクターはそこから先に進まぬよう忠告します。目を覚ますと、ルイスのベッドと足元は泥まみれになっており、夢が現実と繋がっているかのような奇妙な感覚に囚われます。

ハロウィンの日、ペットのネコ、チャーチがトラックにはねられて死んでしまいます。娘エリーを悲しませたくないルイスは、ジャドに相談し、ジャドと共に森の奥深くにある謎めいた墓地にチャーチを埋葬します。翌日、死んだはずのチャーチが帰宅したことにルイスは驚愕しますが、戻ってきたチャーチは以前とは全く異なり、攻撃的でどこかおかしい様子でした。困惑したルイスはジャドを問い詰め、ジャドは恐るべき秘密を打ち明けます。その森の奥にある場所には死者を蘇らせる力があること、しかしそこから戻ってきた死者にはウェンディゴという邪悪な精霊が宿るという古くからの伝承があることを語ります。

変貌したチャーチが幼い息子ゲイジを襲う事件が発生し、ルイスはチャーチを安楽死させようとしますが、決断できず野に放つことにします。悲劇はさらに続きます。娘のエリーが誕生日パーティーの最中、車道に飛び出してしまい、タンクローリーに轢かれて命を落としてしまうのです。深い悲しみに打ちひしがれた妻レイチェルは、ゲイジを連れて実家に帰ります。ルイスは、エリーを蘇らせたいという禁断の衝動に駆られますが、ジャドから死者を受け入れることの大切さを諭されます。しかし、娘に再び会いたいというルイスの狂気的な願望は抑えきれません。

ルイスはジャドに睡眠薬を飲ませて眠らせ、その隙にエリーの遺体を掘り起こします。そして、ジャドの警告を無視し、エリーの亡骸をあの蘇りの墓地へ運び埋葬します。ルイスは何か超常的な存在の気配を感じながらも、構うことなく作業を終えます。しばらくして、生き返ったエリーが帰宅しますが、その姿はもはや愛娘の面影はなく、恐ろしい化け物と化していたのです。ルイスの選択は、クリード一家にさらなる破滅をもたらします。

キャスト

- ルイス・クリード医師: ジェイソン・クラーク
- レイチェル・クリード: エイミー・サイメッツ
- ジャド・クランドール: ジョン・リスゴー
- エリー・クリード: ジェテ・ローレンス
- ゲイジ・クリード: ヒューゴ・ラヴォイエ、ルーカス・ラヴォイエ
- ヴィクター・パスコウ: オブッサ・アフマド

製作

本作の企画は2010年から進められており、脚本作業などが開始されました。監督にはフアン・カルロス・フレスナディージョの名前も挙がっていましたが、最終的には2017年にケヴィン・コルシュとデニス・ウィドマイヤーが監督に決定しました。主演のジェイソン・クラークは2018年4月にキャスティングが報じられ、その後、ジョン・リスゴー、エイミー・サイメッツ、ジェテ・ローレンス、ヒューゴ・ラヴォイエ、ルーカス・ラヴォイエらがキャストに加わりました。主要撮影は2018年6月18日からカナダのケベック州で行われ、同年8月11日に終了しました。音楽はクリストファー・ヤングが担当しています。

公開とマーケティング

全米公開は当初2019年4月19日が予定されていましたが、4月5日に前倒しされました。プロモーションとしては、2018年10月10日に最初の予告編が公開され、同年11月には劇中の3D写真がFacebookで公開されました。2019年2月7日には2番目の予告編が登場し、公開前の3月16日にはサウス・バイ・サウスウェスト映画祭でプレミア上映が行われました。

興行収入

本作は公開初週末に他の話題作と競合する中、事前の予測を下回るスタートとなりました。2019年4月5日に全米3585館で公開され、初週末には約2450万ドルを記録し、週末興行収入ランキングで初登場2位となりました。

評価

批評家からの評価は賛否が分かれ、総じて平凡な結果に留まっています。映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは、254件のレビューに基づいて批評家支持率が57%、平均点が10点満点中5.93点となっています。サイトの総評では、1989年版とは異なるアプローチで原作を探求している点は評価しつつも、リメイク作品としての新味に欠けるとの見解が示されています。Metacriticでは42件のレビューに基づく加重平均値が100点満点中57点でした。観客の評価を示すCinemaScoreは「C+」でした。

続編の可能性

本作の公開後、プロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラは、作品の興行成績が好調であれば、前日譚の製作に関心があることを示唆しました。しかし、監督のコルシュとウィドマイヤーは続編への関与に否定的な姿勢を示しています。一方、脚本を担当したジェフ・ブーラーは、続編に関する議論が継続していることを明らかにしており、今後の展開は未定の状況です。

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