ペドロ・デ・ソウザ・ホルステイン (パルメラ公)

ペドロ・デ・ソウサ・ホルステイン：激動の時代を駆け抜けたポルトガルの政治家

ペドロ・デ・ソウサ・ホルステイン（1781年5月8日 - 1850年10月12日）は、19世紀前半のポルトガルにおいて、外交官、政治家として活躍し、初代首相を務めた人物です。彼は、初代パルメラ伯爵、パルメラ侯爵、そしてパルメラ公爵という称号も有していました。

生涯

トリノで生まれたペドロは、ナポレオン1世に対するスペイン独立戦争中の1808年、バイヨンヌ会議において「ポルトガル人はフランス皇帝の望むようにはならない」と発言し、その名を知られるようになりました。1814年のウィーン会議にはポルトガル全権大使として参加し、スペインに奪われたオリベンサの返還を強く要求しました。さらに、1815年のパリ会議にも出席するなど、国際舞台で活躍しました。

その後、ロンドン大使として駐在し、ブラジルに亡命していたポルトガル王室からは外交問題担当の国務長官に任命されました。1820年にポルトガル本土で王室帰還を求める運動が起こると、ジョアン6世に帰還を勧めました。1823年にはパルメラ侯爵となり、ジョアン6世によって外務大臣および新憲法制定委員会の長に任命されます。しかし、制定された憲法があまりにも自由主義的であったため、国王の承認を得られませんでした。また、ドン・ミゲルらの反動勢力からは危険視され、1824年に投獄されてしまいます。釈放後、国務大臣として再びロンドン大使に任命されました。

1828年、ドン・ミゲルが王位を僭称すると、ペドロはポルトで反対勢力に加担し、イギリスへ亡命します。ドン・ミゲルはペドロに有罪判決を下し、財産を没収しました。しかし、ブラジル皇帝ペドロ1世はペドロを娘マリア2世の後見人に任命し、ペドロはマリア2世の大使としてイギリス政府に働きかけました。1830年、アゾレス諸島のテルセイラ島で女王の摂政に任命され、この頃、イギリス海軍のチャールズ・ネイピア船長と出会い、ネイピアはマリア2世の自由主義勢力の指揮官となりました。

1832年、ペドロ1世自身がマリア2世の摂政となると、ペドロは外務大臣としてロンドンからドン・ミゲルに対抗しました。1833年、傭兵の一団を率いるネイピア船長と共にポルトへ渡り、ネイピアとテルセイラ公アントニオ・セヴェリム・デ・ノローニャと共にアルガルヴェ遠征に参加。ネイピアがサン・ヴィセンテ岬の海戦で勝利した後、リスボンを占領し、内戦を勝利に導きました。

内戦終結後、ペドロは新しい立憲君主制下のポルトガルで初代首相となり、1834年9月24日から1835年5月4日までその任を務めました。その後も、1842年2月に2日間、1846年5月から10月まで首相を務めるなど、生涯で3度首相を務めました。1850年10月10日、パルメラ公爵となりました。

ペドロ・デ・ソウサ・ホルステインは、激動の19世紀前半のポルトガルにおいて、自由主義勢力として内戦を勝利に導き、立憲君主制を確立に貢献した、重要な政治家でした。

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