ペリット

ペリット (Pellet)とは

ペリットとは、鳥類が捕食した獲物のうち、消化されなかったものが凝縮されて口から吐き出された塊のことです。「ペレット」という言葉は、本来は小さな塊を意味します。
鳥類以外にも、エラスモサウルス、爬虫類、海生哺乳類、コウモリ、翼竜などにも同様の習性が見られることがあります。

ペリットの内容

ペリットの内容は、鳥の種類や食性によって大きく異なります。
一般的には、昆虫の外骨格、植物の繊維質、骨、羽毛、嘴、爪、歯などが含まれています。鷹狩の世界では、ペリットは「キャスティング (Casting)」と呼ばれています。

ペリットとして吐き出されるのは、鳥類の消化器官である前胃や腺胃で消化できなかったものです。また、ペリットを吐き出す行為は、食道などの消化管を清掃する役割も担っています。
ペリットは、砂嚢（筋胃）と呼ばれる器官で、採餌から6〜10時間程度かけて形成されます。

ペリットの利用

ペリットは、鳥類の食生活、特に季節による変化を研究するための重要な資料となります。鳥類を捕獲・解剖することなく、食性を調査できるという利点があります。
ペリットの発見場所は鳥の種類によって異なりますが、一般的には営巣地の近くで多く見つかります。例えば、ワシタカ類やフクロウはマツなどの球果植物が多い場所に、メンフクロウは農場の納屋や崖などで見つけやすいでしょう。フクロウの種類によっては、地面の巣穴や草むらで見つかることもあります。

ワシタカ類やフクロウのペリットは、灰色または茶色をしており、形状は球状、楕円形、くさび形など様々です。大型の種では3〜5cm程度の大きさになることもありますが、スズメのような小鳥では1〜2cm程度です。
その他、カイツブリ、サギ、ウ、カモメ、アジサシ、カワセミ、カラス、カケス、カワガラス、モズ、ツバメ、シギなどのペリットも観察されています。

食物以外の内容物

稀に、ペリットの中から観測用の標識（バードバンド）が見つかることがあります。これは、小動物や小さな鳥に取り付けられた標識が、大型の鳥に捕食され、ペリットとして吐き出されたものと考えられます。
アメリカでは、コノハズクのペリットからエボシガラ、アメリカコガラ、オウゴンヒワなどに付けられた標識が発見された事例があります。1966年には、オレゴン州で発見されたイヌワシのペリットから、その4ヶ月前に1600km離れた南カリフォルニアでアメリカヒドリに付けられた標識が見つかりました。

病原菌の媒体としての側面

フクロウのペリットに含まれるネズミなどの小動物の毛や骨は、ネズミ由来のウイルスや細菌の媒体となる可能性があります。そのため、学校教育などでペリットを採取する場合は、電子レンジなどで殺菌処理を行うことが推奨されます。
2005年には、アメリカでペリットが感染源と疑われるサルモネラ菌の流行が確認されています。
ネズミ類はフクロウのペリットを避ける傾向がありますが、これは捕食を避けるためだけでなく、病原菌感染を防ぐためでもあると考えられています。

コウモリのペリット

果実食性のコウモリ（オオコウモリなど）にも、ペリット（またはスパット spat と呼ばれる）が見られます。
鳥類のペリットとは異なり、コウモリのペリットは消化器官から吐き戻されたものではなく、口の中で果物を押し潰して液体を絞り出した後に残った、硬い繊維質を吐き出したものです。

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