ペンタングル

ペンタングル (Pentangle)

ペンタングルは、1960年代後半から1970年代前半にかけて活動し、その後再結成を果たしたイギリスのフォークロック・バンドです。その音楽性は、フォークを基盤としつつ、ジャズ、ブルース、古楽など多様な要素を融合した独特なもので、当時の音楽シーンに大きな影響を与えました。

来歴

結成から解散まで

1967年、ジョン・レンボーンとバート・ヤンシュという、当時すでにフォークシーンで著名な2人を中心に結成されました。彼らはそれぞれソロ活動を行っていましたが、共同制作アルバム『華麗なる出会い（Bert And John）』(1966年)をリリースするなど、以前から親交がありました。バンドには、トラディショナルの素養を持つジャッキー・マクシー、ジャズに傾倒していたテリー・コックスとダニー・トンプソン、古楽を学んだジョン・レンボーン、ブルースやコンテンポラリーに関心を持つバート・ヤンシュといった、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まりました。

1967年5月27日、ロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブで公にデビュー。それまでは小規模なクラブでの演奏が中心でしたが、このライブを機に、より大きなホールでの演奏へと活動の場を広げていきました。その後、トランスアトランティック・レーベルと契約し、1968年5月にデビューアルバム『ペンタングル』、同年11月にはセカンドアルバム『スウィート・チャイルド』をリリース。『スウィート・チャイルド』は、ライブ録音とスタジオ録音を収録した2枚組で、ライブ録音には1968年6月29日のロイヤル・フェスティバル・ホールでの演奏が収められています。

1969年には、サードアルバム『バスケット・オブ・ライト』を発表。このアルバムに収録された「Light Flight」は、BBCのTVドラマシリーズ「Take Three Girls」のテーマ音楽に使用され、シングルカットされるなど、商業的にも成功を収めました。1970年には、トラディショナルソングで構成された4thアルバム『クルエル・シスター』を発表。このアルバムでは、20分近くに及ぶ大作「Jack Orion」などが収録されています。また、このアルバムでは、ジョン・レンボーンがエレクトリック・ギターを演奏するなど、新たな試みも見られました。

1971年の5thアルバム『リフレクション』では、トラディショナルとオリジナルのミックスというバンド初期のスタイルに戻り、1972年には6thアルバム『ソロモンの封印』をリリース。しかし、1973年初めにバート・ヤンシュが脱退を表明し、それに伴いバンドは解散しました。

再結成とその後

1981年、バンドは再結成の話し合いを持ち、翌年から活動を再開。しかし、ジョン・レンボーンが早々に離脱し、代わりにマイク・ピゴットが加入します。このメンバーで、1985年に13年ぶりのアルバム『オープン・ザ・ドア』をリリース。以降、メンバーの変遷を経ながらも、コンスタントに作品をリリースしていきます。

1994年には、バート・ヤンシュがソロ活動を優先するために離脱し、オリジナル・メンバーはジャッキー・マクシーのみとなります。オリジナル・ペンタングルとしての活動はここで一旦終了し、以降は「ジャッキー・マクシーズ・ペンタングル」として活動を継続します。

2007年、久しぶりにオリジナルメンバーが集結し、BBC主催の表彰式に出席。翌年には、デビュー40周年を記念した再結成ライブツアーを開催しました。2011年にもライブ公演を実施しましたが、同年、バート・ヤンシュが他界。2015年にはジョン・レンボーンも亡くなり、バンドの主要メンバーを失いました。2016年には、オリジナルメンバーによる40周年再結成ライブ・アルバム『フィナーレ』がリリースされています。

ジャッキー・マクシーズ・ペンタングル

バート・ヤンシュの離脱後、ジャッキー・マクシーは、ジェリー・コンウェイ、スペンサー・コーゼンスと共にトリオ編成で活動を継続。「ジャッキー・マクシーズ・ペンタングル」として、ジャズとフォークの融合、及び絶妙なバンド即興演奏を主体とした定期的な公演ツアーを行いました。

2002年にジェリー・アンダーウッドが病死するという不幸に見舞われましたが、ゲイリー・フットを迎え、2004年からライブ活動を再開。2016年7月には、初来日公演も果たしました。

ペンタングルは、その革新的な音楽性と、メンバーそれぞれの卓越した演奏技術によって、フォークロックの新たな可能性を切り開いたバンドとして、今もなお多くの音楽ファンに愛されています。

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