ペンライト

ペンライト：その多様な用途と歴史

ペンライトは、その名の通りペン型の懐中電灯で、狭義にはペンのように細く先端のみが光るものを指します。しかし、広義にはライトスティックと呼ばれる、より大きく広い範囲を照らすタイプのものも含まれます。

概要

ペンライトは、小型で軽量、携帯性に優れているため、機械設備や工事現場、医療や福祉の現場など、様々な場所で活用されています。電源には主にボタン型電池や単四形乾電池が使われ、以前は電球が光源として一般的でしたが、近年ではLEDが主流となっています。

また、化学反応を利用したペンライトも存在します。これらは2液混合式で、白色や有色の光を数時間発生させ、使い捨てタイプです。これらはケミカルライトやサイリュームとも呼ばれ、ライトスティックの一種として分類されます。

用途

ペンライトの用途は多岐に渡ります。暗闇での警告灯や、火を使わないキャンドルサービス、コンサートでの応援グッズとして使われるほか、近年では無線制御により舞台照明としても利用されています。コンサートでは、観客がペンライトを振ることで一体感を醸成し、特別な空間を演出します。また、舞台照明としての利用は、より複雑でダイナミックな演出を可能にしています。

歴史

コンサートでのペンライト

ペンライトがコンサートで使われるようになったのは、1970年代に遡ります。1974年、西城秀樹がコンサートで観客に懐中電灯の持参を呼びかけたことがきっかけで、ペンライトの使用が広まりました。その後、会場周辺でペンライトが販売されるようになり、1980年代には、色セロファンを巻いた豆電球やサイリュームが使われるようになりました。

宝塚歌劇団では、1974年の公演で、観客にペンライトが配られ、舞台演出に取り入れられました。海外では、1983年にフリオ・イグレシアスのコンサートで、観客がペンライトを使用した演出が行われ、感動を呼んだという記録があります。

1986年頃には、アイドルコンサートでの応援グッズとして、ペンライトからケミカルライトへの移行が進みました。1996年には、二輪車部品メーカーがコンサートやスポーツ応援に特化したLEDペンライト「チアライト」を商品化。この商品がジャニーズ事務所の公式応援グッズとして採用され、ペンライトはコンサートには欠かせないアイテムとなりました。

ケミカルライトには、発光時間が短い代わりに強い光を放つ「ウルトラオレンジ」と呼ばれる種類があり、2000年代初頭のフェスで、ファンが特定のアーティストの応援に使用し始め、注目を集めました。その後、台湾や香港のフェスでもケミカルライトが多く使われるようになりました。

2010年頃には、メンバーごとにイメージカラーを持つグループが人気を集め、多様な色のペンライトが求められるようになりました。同時に、無線制御型のLEDペンライト（FreFlowなど）が登場し、2013年以降、日本のライブで広く使われるようになりました。近年では、サイリュームの破損による化学薬品漏れのリスクから、LEDタイプのペンライトが主流となり、様々な形状のペンライトが開発されています。

スポーツでのペンライト

ペンライトはスポーツの場でも利用されています。1964年の東京オリンピックの前年祭では、観客がペンライトを灯し、その光景が報道写真集に掲載されました。

1984年のロサンゼルスオリンピックでは、閉会式でペンライトが配布され、聖火の消灯後の演出に使われました。また、同年の大相撲秋場所の千秋楽では、観客がペンライトを振りながら「蛍の光」を歌い、感動的なフィナーレを飾りました。さらに、1985年のユニバーシアード神戸大会やバレーボールワールドカップの閉会式でも、同様の演出が行われています。

これらの事例から、1960年代から80年代にかけてのスポーツイベントでは、ペンライトは応援グッズというよりは、セレモニーの演出やキャンドルサービスの延長として使われていたことがわかります。

まとめ

ペンライトは、そのコンパクトさと使いやすさから、様々な分野で利用されています。コンサートでの応援グッズとしての歴史や、スポーツイベントでの演出など、その使われ方は時代とともに変化してきました。現代ではLEDタイプのペンライトが主流となり、その形状や機能も多様化しています。今後も、ペンライトは様々な場面で活用され、私たちの生活を彩るアイテムとして存在し続けるでしょう。

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