ホスファチジルイノシトール

ホスファチジルイノシトール（Phosphatidylinositol、略称: PtdIns、またはPI）は、グリセロリン[[脂質]]に分類されるリン[[脂質]]の一種です。この両親媒性分子は、真核生物の細胞膜において細胞質側に存在しています。歴史的には、FaureとMorolec-Coulonによって小麦胚芽と心筋から初めて単離されました。

ホスファチジルイノシトールを基本骨格とする全ての脂質は、イノシチド (inositides) またはホスホイノシチド (phosphoinositides) と呼ばれます。

組成

ホスファチジルイノシトールは、グリセロールと脂肪酸からなるリン[[脂質]]であり、アルコール部分がイノシトールとなっています。加水分解されると、1分子のグリセロール、2分子の脂肪酸、1分子のイノシトール、そして1から3分子のリン酸が生成されます。リン[[脂質]]の中で最も酸性度が高いと考えられています。

リン酸化

ホスファチジルイノシトールのイノシトール環には、3,4,5位の水酸基にリン酸が付加されることで、異なる7種類のリン酸化状態が存在し得ます。これらのリン酸化されたPIは、様々なキナーゼの基質となるため、細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たしています。2位と6位の水酸基は、立体的な制約からリン酸化されないと考えられています。

動物においては、これら7種類の異性体全てが確認されていますが、植物ではホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸はまだ発見されていません。

生理作用

ホスファチジルイノシトールは、血中のHDLコレステロール値を上昇させる作用があることが知られています。このことは、脂質代謝におけるPIの潜在的な役割を示唆しています。

出典

ホスファチジルイノシトール - 脳科学辞典

関連項目

ホスホリパーゼC
ジアシルグリセロール
プロテインキナーゼC
PI3キナーゼ

外部リンク

ホスファチジルイノシトール - 脳科学辞典

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