ホトケノザ

ホトケノザ（仏の座）について

ホトケノザ（学名: Lamium amplexicaule）は、シソ科オドリコソウ属に分類される一年草または越年草です。別名としてサンガイグサとも呼ばれますが、春の七草に数えられる「仏の座」とは異なる植物です。漢字では「元宝草」や「宝蓋草」と表記されることもあります。

形態と生態

ホトケノザは、成長すると10〜30cmほどの高さになります。茎は四角い断面で柔らかく、下の方で枝分かれし、先端は直立します。葉は茎に対生しており、縁には鈍い鋸歯があります。下部の葉は葉柄を持ち円形ですが、上部の葉は葉柄がなく、茎を抱くように合わさって丸くなります。この様子から、俗にサンガイグサ（三階草）とも呼ばれます。

花期は3月から6月で、上部の葉の付け根に長さ約2cmの紫色の唇形の花を咲かせます。花の上唇は兜のような形をしており、短毛が密生しています。下唇は2つに裂けており、濃い紅色の斑点があります。通常の開花する花のほかに、つぼみのまま結実する閉鎖花を付けることもあります。また、白い花を咲かせる個体もあり、これはシロバナホトケノザと呼ばれます。

種子には白い物質が付着しています。これはアリが好むエライオソームという物質を含んでおり、アリが種子を運ぶことで分布を広げるのに役立っています。

分布と生育地

ホトケノザは、アジア、ヨーロッパ、北アフリカなど広い地域に分布しています。日本では、本州、四国、九州、沖縄に自生しており、北海道には移入によって分布しています。道端や田畑の畦など、身近な場所でよく見られる雑草です。春先には、畑一面を赤紫色の花で彩る様子が見られます。

人との関わり

子供たちが花びらを抜き取り、蜜を吸って遊ぶことがあります。春の七草の1つとして「ほとけのざ」が挙げられますが、これはホトケノザではなく、コオニタビラコというキク科の植物です。そのため、ホトケノザを七草の「ほとけのざ」と誤解している人もいます。ホトケノザは食用ではないため、注意が必要です。

春先のコオニタビラコは、株全体がロゼット状で地面に広がり、その様子が仏像が座る蓮華座に似ていることから名付けられました。一方、ホトケノザは、茎に対生する丸い葉の上に花が咲く様子が、蓮華座と仏像に見立てられたものです。

参考文献

亀田龍吉『ルーペで発見! 雑草観察ブック』世界文化社、2019年3月15日、24 - 25頁。ISBN 978-4-418-19203-8。
平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、161頁。ISBN 4-635-07001-8。

関連項目

花の一覧
プロジェクト:生物/食用となる植物の一覧
コオニタビラコ - 春の七草の「ほとけのざ」

外部リンク

Lamium amplexicaule L. (英語). Integrated Taxonomic Information System.
Lamium amplexicaule (英語). National Center for Biotechnology Information（NCBI）.
Lamium amplexicaule (英語) - Encyclopedia of Life
波田善夫. “ホトケノザ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2012年5月15日閲覧。
いがりまさし. “ホトケノザ”. 植物図鑑・撮れたてドットコム. 2012年5月15日閲覧。

もう一度検索