ホルテン Ho229

ホルテン Ho229とゴータ Go229：革新的な全翼型戦闘機

ホルテン Ho229（Horten Ho229）およびその量産型のゴータ Go229（Gotha Go229）は、第二次世界大戦後期にドイツのホルテン兄弟によって開発された全翼型の戦闘爆撃機です。この機体は、ジェットエンジンを搭載した先進的な設計を持ち、さらにはステルス性も兼ね備えていました。ここでは、ホルテン兄弟の背景やこの機体の開発過程、そしてその技術的な特徴を詳しく見ていきます。

ホルテン兄弟の背景

ホルテン兄弟、ヴァルターとライマールは幼少期からグライダーや全翼機に興味を持ち、1931年から1933年にかけてドイツで開催されるグライダー競技会において連続優勝を果たしました。彼らは当時、無尾翼機に関する研究を行っていたアレクサンダー・リピッシュ博士のもとで設計や製作に従事しており、1936年から1938年にはH II、H III、H IV、H Vといった機体を開発しました。

1941年には、戦闘機査察技術部に異動したヴァルターがライマールを改めてプロジェクトに引き込み、二人は全翼機の開発に全面的に取り組むことになります。二人が提案した「ホルテンIX計画」では、ジェットエンジンを搭載した全翼機を開発し、時速900キロメートルで700キログラムの爆弾を運搬できる性能を目指しました。

技術的側面と開発の進展

1943年に入り、ホルテン兄弟はプロジェクト3000に参加し、H IX V1の初飛行を成功させました。初めはBMW 003エンジンを搭載する予定でしたが、実際にはより高出力のJumo 004に変更されることになり、このために急遽設計変更を行いました。それにも関わらず、H IX V2は高い性能と安定性を示し、1944年2月に初飛行を果たしました。

しかし、V2はテストフライト中の事故で墜落し、テストパイロットが命を落とすという悲劇が起きました。それでも、この機体は制式採用され、量産が開始されることになりました。ホルテン兄弟は自身で量産する能力を持たなかったため、ゴータ社とクレム社が量産を担当することになりました。この決定は、高性能機としての期待が高かったからです。

運用と戦略的重要性

Ho229は、接着剤でベニヤ板を組み合わせるという新しい製造法により、生産性が高く、同時にアルミニウムなどの戦略物資をほとんど使用しない設計が特長でした。また、レーダーステルスを実現するために、炭素粉を含む塗料を使用するなど、技術的革新も見られました。機体は中央部と左右の翼に分割可能であったとされ、戦術的な柔軟性を提供しました。

量産に向けた進展が続く中、完成度の高いV3モデルがアメリカ軍に鹵獲され、その後はアメリカの航空機博物館で展示されています。その後、ナショナル・ジオグラフィックが本機を復元する番組を制作し、スティーブン F. ユードバー ヘイジーセンターにて、ステルス性が確認されたこともあります。

まとめ

ホルテン兄弟のHo229は、全翼機としてのデザインおよびステルス技術を有し、当時の航空機技術の中でも特筆すべきものでした。今回のプロジェクトは、戦争の流れを動かす可能性を秘めた重要な機体であり、現代の航空機設計においてもその影響を見ることができます。今でも、全翼型デザインはユニークかつ力強い航空機の象徴とされており、その先駆的な思想は後の世代へと引き継がれていきます。

スペック

• - モデル: Ho 229A / Go 229 (V3)
• - 乗員: 1名
• - 全長: 7.47 m
• - 翼長: 16.76 m
• - 全高: 2.81 m
• - 翼面積: 50.20 m²
• - 自重: 4,600 kg
• - 最大離陸重量: 6,912 kg
• - 動力: ユンカースJumo 004B-1ターボジェットエンジン（推力900kg ×2）
• - 最高速度: 977 km/h
• - 戦闘行動半径: 1,000km
• - 航続距離: 1,300km
• - 上昇限度: 16,000 m
• - 上昇率: 22 m/s
• - 固定武装: 30mmMk103機関砲×2
• - ロケット弾: 55mm R4M
• - 爆弾: 500 kg ×2

ホルテン兄弟の開発したこの革新機は、単なる航空兵器に留まらず、戦争の歴史における重要な一翼を担った存在といえるでしょう。

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