ホルミズド1世

ホルミズド1世（在位：272年? - 273年もしくは270年5月? - 271年6月?）

ホルミズド1世は、サーサーン朝ペルシア帝国の君主であり、シャープール1世の息子として生まれました。彼はホラーサーンの統治を任され、その地で手腕を発揮しました。

生涯

ギリシア語年代記では「Hōrmisdēs」、アラビア語文献では「フルムズ」、近世ペルシア語では「ホルミズド」と呼ばれています。中期ペルシア語では「アフラ・マズダー神」を意味する「オ（ー）フルマズド」という名で知られていました。

家族構成

ホルミズド1世はシャープール1世の三男であり、母親はパルティアのミフラクの娘であったと伝えられています。彼にはバフラーム1世とシャープール・メシャンシャーという二人の兄と、ナルセ1世という弟がいました。また、姉妹にはAdur-AnahidとShapurdukhtakがいました。祖父はサーサーン朝の創始者であるアルダシール1世であり、224年に最後のパルティア王アルタバノス4世を倒し、イランの主権を確立しました。

軍事的な功績

ローマ帝国の戦争記録にもホルミズド1世の名前が登場します。彼はアルメニアのペルシア総督として、シャープール1世がローマからアンティオキアを奪取する際に重要な役割を果たし、「勇敢なるホルミズド」という異名を得ました。

伝説

サーサーン朝末期に編纂された『パーパグの子アルダフシールの行伝』には、ホルミズド1世がアバルサースの王ミフラグの娘の間に生まれたという記述があります。ミフラグはペルシアの君主でしたが、その一族はアルダシール1世によって滅ぼされました。マゴス神官は、ミフラグの血統を絶やさなければペルシアが復興すると予言したため、アルダシール1世はミフラグの一族を滅ぼそうとしました。

しかし、ミフラグの娘は農夫によって匿われ、難を逃れました。その後、シャープール1世は彼女と出会い、妻としました。ホルミズド1世は、しばらくしてアルダシール1世にその存在を認められました。

歴史家タバリーの『諸使徒と諸王の歴史』にも同様の記述があり、シャープール1世の大征服がホルミズド1世の功績として語られています。タバリー史によると、ミフラクの娘は10歳の時にアルダシールから逃れ、羊飼いの妻として養育されました。15年後、狩りの際に羊飼いのテントを訪れたシャープール1世は、彼女の美しさに惹かれ、妻として迎えました。そして、ミフラクの娘との間にホルミズド1世が生まれたとされています。

統治期間

ホルミズド1世の統治期間は、わずか1年と10日という短いものでした。しかし、その短い期間にもかかわらず、彼はサーサーン朝ペルシア帝国の歴史に名を残しました。

参考文献

Chisholm, Hugh, ed. (1911). "HORMIZD, or HORMIZDAS". Encyclopædia Britannica (11th ed.). Cambridge University Press.
Shahbazi, A. Shapur (1988). "Bahrām I". Encyclopaedia Iranica, Vol. III, Fasc. 5. pp. 514–522.
Pourshariati, Parvaneh (2008). Decline and Fall of the Sasanian Empire: The Sasanian-Parthian Confederacy and the Arab Conquest of Iran. London and New York: I.B. Tauris. ISBN 978-1-84511-645-3.
Brosius, Maria (2000). "Women i. In Pre-Islamic Persia". Encyclopaedia Iranica. London et al.
Gignoux, Ph. (1983). "Ādur-Anāhīd". Encyclopaedia Iranica, Vol. I, Fasc. 5. London et al. p. 472.
Shahbazi, A. Shapur (2005). "Sasanian dynasty". Encyclopaedia Iranica, Online Edition.
* ブリタニカ百科事典, Hormizd I | Sāsānian king | Britannica

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