ホレのおばさん

ホレのおばさん (Frau Holle)

「ホレのおばさん」は、グリム童話集に収録されている有名な童話(KHM24)の一つです。物語は、親切な娘と意地悪な継母、そして不思議な力を持つホレのおばさんを中心に展開します。

あらすじ

物語は、未亡人の家に暮らす二人の娘から始まります。一人は亡き妻の娘で美しく働き者、もう一人は醜く怠け者の実の娘でした。継母は美しい継娘を妬み、常に辛い仕事を押し付けて虐待していました。

ある日、継娘は糸巻きを井戸で洗っている際に、誤って井戸の中に落としてしまいます。継母にそのことを告げると、「自分で取ってこい！」と厳しい言葉が返ってきました。深い井戸に途方に暮れた娘は、思い余って井戸に身を投げてしまいます。

気を失った娘が目を覚ますと、そこは美しい草原でした。歩いていると、焼ける寸前のパンや、熟しすぎたりんごに出会います。娘はパンを釜から出し、りんごを木から揺すり落とし、それらを助けました。そして、ついにホレおばさんの家に辿り着きます。

ホレおばさんの家で奉公することになった娘は、言いつけられた通り、毎日羽布団を丁寧に叩いて掃除をしました。すると、布団から舞い上がった羽毛が、まるで雪のように空から降ってくるのでした。

しばらくの間、娘は幸せに暮らしていましたが、やがて故郷が恋しくなり、ホレおばさんに帰りたいと告げます。ホレおばさんは、娘が落とした糸巻きを返すと共に、真面目に働いた褒美として、娘を黄金の雨で包み込み、故郷へと送り出しました。

黄金に輝いて帰ってきた娘を見た継母は、欲深い気持ちを抑えられず、自分の娘にも同じ幸運をもたらそうと考えます。そして、娘をホレおばさんのもとへ行かせることにしました。

しかし、怠惰で心のねじ曲がった娘は、パンもりんごも助けようともせず、ホレおばさんの家へ一直線に向かいました。そして、ホレおばさんの家でも仕事をせずに怠けてばかりいたため、ホレおばさんの怒りを買ってしまいます。その罰として、娘は全身にベタベタのコールタールを塗られ、二度と落とすことができないまま、家に帰されることになりました。

ホレおばさんの寝床

この物語の舞台となったドイツ・ヘッセン地方では、雪が降ることを「ホレおばさんが寝床を直している」と表現します。これは、ホレおばさんが羽布団を叩いて掃除する際に舞い上がる羽毛が、雪のように見えることに由来しています。この表現は、物語が人々の生活に深く根付いていることを示しています。

関連項目

コルンムーメ
ドイツ・メルヘン街道

外部リンク

* 『ホレおばあさん』：新字新仮名 - 青空文庫（矢崎源九郎訳）

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