ホワイティ・ハーゾグ

ドレル・ノーマン・エルバート・ハーゾグ（Dorrel Norman Elvert "Whitey" Herzog、1931年11月9日 - 2024年4月15日）は、アメリカ合衆国イリノイ州ニューアセンズ出身の野球選手（外野手）でした。左投左打の選手としてプレーした後、スカウト、コーチ、監督、ゼネラルマネージャー（GM）、ファームシステムディレクターなど、多岐にわたる役割を歴任し、監督としてはワールドシリーズ制覇も経験しました。

選手としてのキャリア

ハーゾグはニューヨーク・ヤンキースに入団しましたが、メジャー昇格は果たせませんでした。しかし、スプリングトレーニングで当時監督を務めていたケーシー・ステンゲルから受けた影響は、後年の監督としてのキャリアに大いに役立ったとされています。その後、ワシントン・セネターズ（現在のミネソタ・ツインズ）に移籍し、1956年4月17日にメジャーデビューを果たしました。その後、カンザスシティ・アスレチックス（現在はオークランド）、ボルチモア・オリオールズ、デトロイト・タイガースと渡り歩き、1963年を最後に現役を引退しました。

選手としての通算成績は、634試合に出場し、打率.254、25本塁打、172打点、213得点、60二[[塁打]]、20三[[塁打]]でした。派手な成績ではありませんでしたが、その後の活躍を考えると、選手時代の経験が重要な礎になったと言えるでしょう。

指導者としてのキャリア

引退後、ハーゾグは指導者としての道を歩み始めます。アスレチックスでスカウト、コーチを務めた後、ニューヨーク・メッツのコーチとして、1969年の[[ワールドシリーズ]]制覇に貢献しました。この時のメッツは「ミラクル・メッツ」と呼ばれ、ハーゾグはその一員として重要な役割を果たしました。

1973年にはテキサス・レンジャーズの監督に就任しましたが、成績不振で解任されました。その後、カリフォルニア・エンゼルスのコーチを経て、1975年途中からカンザスシティ・ロイヤルズの監督に就任します。ロイヤルズでは、俊足の選手を多く起用し、「ホワイティ・ボール」と呼ばれる機動力野球を展開しました。1976年から3年連続でア・リーグ西地区優勝を果たしますが、リーグチャンピオンシップシリーズではヤンキースに敗れ、1979年に解任されました。

1980年途中からはセントルイス・カージナルスの監督に就任し、GMも兼任しました。1982年にはチームをワールドシリーズ制覇に導き、監督としての評価を確固たるものとしました。1985年と1987年にもワールドシリーズに進出しましたが、いずれも敗退。特に1985年のロイヤルズとの対戦では、第6戦での「誤審」が大きな議論を呼び、最終戦ではハーゾグ自身も退場処分となるなど、波乱に満ちたシリーズとなりました。カージナルスの監督は1990年途中まで務めました。

1993年と1994年にはエンゼルスのGMを務め、2009年にはベテランズ委員会の選考により、アメリカ野球殿堂入りを果たしました。殿堂入りを記念して、カージナルスはハーゾグが在籍時に着用していた背番号『24』を永久欠番に指定しました。2024年4月15日に92歳で亡くなりました。

監督としての特徴

ハーゾグの監督としての特徴は、投手力と機動力、守備力を重視した野球です。ロイヤルズとカージナルスの本拠地が当時人工芝の球場だったこともあり、足の速い選手を積極的に起用しました。特にカージナルスでは、1985年にチーム全体で314盗塁を記録し、その機動力は他チームを圧倒しました。ビンス・コールマン、ウィリー・マギー、アンディ・バンスライク、トム・ハー、オジー・スミスらが盗塁を量産し、その中でもコールマンは110盗塁で新人王を獲得しました。

また、出塁率の高い打者を好み、ロイヤルズではジョージ・ブレットやハル・マクレー、カージナルスではキース・ヘルナンデスやジャック・クラーク、オジー・スミス、ダレル・ポーターらを重視しました。中でもオジー・スミスは、卓越した守備力を高く評価し、サンディエゴ・パドレスからトレードで獲得し、チームの勝利に貢献しました。

ハーゾグは、その戦略的な采配と選手育成の手腕により、名監督としてその名を歴史に刻みました。彼の野球に対する情熱と知性は、多くのファンや選手たちに影響を与え、現代野球にもその影響は色濃く残っています。

参考文献

Baseballhalloffame.org
Baseball-reference.com
Fangraphs
The Baseball Cube
* Baseball-Reference (Register)

もう一度検索