ホワイトナイトツー

スケールド・コンポジッツ モデル348 ホワイトナイトツー

スケールド・コンポジッツ モデル348 ホワイトナイトツー（Scaled Composites Model 348 WhiteKnightTwo, WK2）は、商業宇宙旅行の実現を目指すヴァージン・ギャラクティック社のために特別に開発された、ジェット推進式の輸送機です。この機体は、同社の宇宙旅行船であるスペースシップツーを高高度まで運び、そこから宇宙空間へ打ち上げるという、二段階式有人弾道飛行システム「Tier 1b」における第一段階の役割を担います。その開発は、先行して成功を収めたスペースシップワンの母機、ホワイトナイトの経験と技術を基に行われました。

ヴァージン・ギャラクティック社は、この革新的なシステムを実現するために、ホワイトナイトツーを2機発注しています。ホワイトナイトツーとスペースシップツーの組み合わせは、同社が提供する弾道宇宙飛行サービスの中核を成すものです。

最初に完成したホワイトナイトツーには、ヴァージン・グループ創設者であるリチャード・ブランソンの母親に敬意を表して「VMS Eve」という名前が付けられました。この記念すべき機体は2008年7月28日に初めて公開され、同年12月21日に初飛行を成功させています。2番目の機体は、冒険家として知られるブランソンの親友、スティーヴ・フォセット氏を追悼して「VMS Spirit of Steve Fossett」と名付けられる予定です。

設計

ホワイトナイトツーは、大型化されたスペースシップツー宇宙船を効率的かつ安全に運ぶために設計されており、そのサイズは先行機のホワイトナイトと比較して約3倍にもなります。機体には、フライトコントロールケーブルを含む多くの部分に、軽量かつ強度に優れるカーボンファイバーが採用されており、その中には新しく特許を取得した設計も含まれています。特に注目すべきはその翼幅で、第二次世界大戦期に活躍した大型爆撃機、B-29スーパーフォートレスと同程度の約43メートルにも及びます。

ホワイトナイトツーの最も特徴的な構造は、その双胴形式です。機体は2つの胴体を持っており、それぞれに2基ずつ、合計4基のジェットエンジンを翼下に装備しています。設計上、一方の胴体は、宇宙旅行本番前の乗客が搭乗訓練を行うためのスペースシップツーの正確なレプリカとして機能することを想定しています。もう一方の胴体は、将来的には割引料金で成層圏への日帰り旅行を提供する目的も考慮されているようです。

この双胴構造や、十字尾翼、翼下に配置されたエンジン、そしてコクピットの配置など、ホワイトナイトツーの設計は、T字尾翼を持ち、単一のコクピットの脇にエンジンを配置していたホワイトナイトとは大きく異なり、より大型化されたスペースシップツーの要求に応じた全く新しいアプローチが取られています。

運用と機能

ホワイトナイトツーは、スペースシップツーを搭載して高高度まで上昇した後、スペースシップツーを切り離します。これにより、スペースシップツーは自身のロケットエンジンを使用して宇宙空間へと向かいます。ホワイトナイトツー自体も、実用上昇限度として21.3km（約70,000フィート）に到達する能力を持ちます。この高度では、乗客は地平線が湾曲し、空が濃い青色（ダークブルー）に変化する様子を体験できます。

弾道宇宙飛行を行う前に、ホワイトナイトツーを用いたプレビュー飛行が実施されることも計画されています。この飛行では、機体が特定の軌道を描くことで数秒間の無重力状態を体験することが可能であり、乗客は本番の飛行に備えた訓練を受けることができます。

仕様

以下に、ホワイトナイトツーの主な仕様を示します。

ペイロード: 17,000 kg
全長: 24m
翼幅: 43m
動力: プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW308 ターボファンエンジン × 4基 (各基30.69kN)
* 実用上昇限度: 21.3 km

ホワイトナイトツーは、ヴァージン・ギャラクティックの商業宇宙旅行を実現するための重要な鍵となる、先進的でユニークな航空機です。その開発と運用は、宇宙へのアクセスを広げる新たな時代の幕開けを象徴しています。

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