ホワイトホール (ロンドン)

ホワイトホール：イギリス政治の中枢

ロンドンのシティ・オブ・ウェストミンスターに位置するホワイトホールは、テムズ川を東に望む南北の通りです。トラファルガー広場から南に伸び、チャリング・クロスからチェルシーに至るA3212号線の一部を形成しています。この通り沿いには、イギリス政府の中枢機関である多数の中央省庁や政府機関が集中しており、イギリス政治の中心地として世界的に知られています。そのため、ホワイトホールという地名は、通りそのものを指すだけでなく、イギリス政府そのものを象徴する言葉としても用いられることが多く、日本の霞が関に類似しています。

歴史と変遷

ホワイトホールの名は、かつてこの地に存在した壮大なホワイトホール宮殿に由来します。しかし、1698年の大火により宮殿は全焼し、現在残っているのはバンケティング・ハウスのみです。チャールズ1世は1649年、このバンケティング・ハウス前で処刑されました。現在でも、王党派の人々は処刑日を記念する式典を行っています。

当初、ホワイトホール宮殿に通じる小さな道路だった現在のホワイトホールは、宮殿焼失後の土地整理を経て拡張されました。19世紀初頭には、北端にトラファルガー広場が建設され、現在の通りの姿が完成しました。厳密には、チャリング・クロスからダウニング街やリッチモンドテラスとの交差点までは「ホワイトホール」、それ以南は「パーラメント・ストリート」と区別されますが、今日ではこの区別はほとんど意識されていません。通りの全長は約1キロメートルです。

ホワイトホールを取り巻く重要な建造物と機関

ホワイトホールには、イギリス政府の重要な機関に加え、歴史的な建造物や記念碑が数多く存在します。

政府機関:

ウェストミンスター宮殿（英国議会）: イギリスの立法府であり、政治の中心的な場所です。
内閣府: 政府の政策決定の中枢機関です。首相官邸もここにあります。
国防省: イギリスの防衛政策を担う重要な省庁です。
財務省: イギリスの財政政策を管轄する省庁です。
外務省: イギリスの外交政策を担う省庁です。
その他多数の省庁: 環境・食料・農村地域省、保健省、労働年金省など、様々な分野を管轄する省庁がホワイトホール周辺に集中しています。

軍事関連機関:

陸軍省旧館: 陸軍に関する歴史的建造物です。
ホース・ガーズ: 軍ロンドン管区司令部、王立騎兵隊司令部などの施設があります。
海軍本部: イギリス海軍を統括する本部です。

歴史的建造物・記念碑:

バンケティング・ハウス: ホワイトホール宮殿唯一の現存建物です。
セノタフ: 第一次世界大戦戦没者記念碑です。

その他:

スコットランドヤード: ロンドン警視庁の本部。かつてホワイトホール北東のグレート・スコットランド・ヤードに置かれていたことから、この名称が用いられています。
* ダウニング街: 首相官邸（ダウニング街10番地）を含む一帯で、ホワイトホールの南西から伸びています。1989年以降、一般人の通行は制限されています。

ホワイトホールの現在

現在もホワイトホールは、イギリス政治の中心地としての役割を担い続けています。多くの政府機関が集中するこの地は、政治・歴史・文化が混在する、ロンドンを代表する重要な場所となっています。多くの観光客が訪れ、イギリスの歴史と政治を肌で感じることができる場所として、高い人気を誇っています。

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