ホワイト・ポニー

『ホワイト・ポニー』（White Pony）は、アメリカのオルタナティヴ・メタル・バンド、デフトーンズが2000年6月20日に発表した3枚目のアルバムです。CD EXTRA仕様でリリースされました。

制作の背景

前作『アラウンド・ザ・ファー』から参加したフランク・デルガドが、本作より正式メンバーとして加入し、サンプリングやサウンドエフェクトを担当しました。レコーディングはカ[[リフォルニア州]]サウサリートのレコード・プラント・スタジオで行われました。当初、アルバムは1999年夏頃のリリースが予定されていましたが、最終的に1年延期されました。バンドは、前作のリリース後に人気が高まり、ブラック・サバスの全米ツアーのサポートや、ヘッドラインによるショート・ツアー、全豪ツアーなど、再びツアーに出る状況になったこと、そして前作の高評価に自信をつけたことで、よりアルバムを満足のいく状態になるまで練り上げることができたと説明しています。

ギタリストのステファン・カーペンターは、「良いものができた時に出すのが一番だ。良い曲を書き、満足できる内容のアルバムを作ることの方が、シングル・ヒットを出すことや、TVやラジオに出演することよりも大切だ。良いものを作って、ファンがそれを気に入ってくれることが、俺たちにとって何よりも嬉しいことだ」と語っています。また、ボーカルのチノ・モレノも、「レコーディング中は様々なアイデアが浮かび、それがアルバムの中でどういう形になっていくのか見えずに不安になったりもしたが、最終的には非常に納得のいくものができ、さらに自信を持つことができた」と語っています。

音楽的特徴と概要

それまでのギターリフを重視したヘヴィなニュー・メタル路線から大きく方向転換し、「静」と「動」のコントラストを強調した作品となっています。ニュー・ウェイヴ、ドリーム・ポップ、トリップ・ホップ、シューゲイザーなどからの影響が感じられるサウンドで、バンドのターニング・ポイントとなった作品として高く評価されています。チノ・モレノは本作からリズムギターも担当し、ボーカル面では、以前のラップよりも歌を重視するようになり、「今は昔ほどラップすることに興味を感じない。10代の頃はヒップホップがすべてだったが、次第に他の音楽を聴いたり、自分で曲を書いたりするうちに、他のボーカル・アプローチに興味が湧いてきた」と語っています。収録曲「パッセンジャー」では、トゥールのフロントマンとして知られるメイナード・ジェームス・キーナンがボーカルでゲスト参加しています。

リイシュー盤に収録されている「バック・トゥ・スクール（ミニ・マギット）」は、「ピンク・マギット」にラップのパートを加えて新たにリミックスしたものです。チノ・モレノによると、この曲は『ホワイト・ポニー』のリリース後、レコード会社の要望で作られたもので、シングルカットの際に、ヘヴィなサウンドが減退したと感じたレコード会社が、彼らにシングルカットにふさわしい曲を作るように要請した際、チノが「あのクソ野郎どもにヒット・シングルを作ることがどれだけ簡単かを見せてやろう」と思い立ち、「ピンク・マギット」にラップの歌詞をのせて再編集し、30分でその「ヒット・シングル」を完成させたと言われています。

評価と受賞

『オルタナティヴ・プレス』誌は、2000年のベスト・アルバム・リストの2位に、2010年には2000年代で最も影響力のあるアルバム・トップ10に本作を選出。『ケラング!』誌も2000年のベスト・アルバム・リストの3位に本作を選んでいます。

収録曲「エリート」は、2001年の第43回グラミー賞で最優秀メタル・パフォーマンス賞を受賞しました。また、本作はバンド史上最も売れたアルバムでもあり、全米チャート3位、全豪チャート2位を記録し、2002年にはプラチナディスクを獲得しています。

『ホワイト・ポニー』は、デフトーンズの音楽性を大きく広げた重要な作品として、今もなお多くのファンに愛されています。

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