ホングウシダ科

ホングウシダ科 (Lindsaeaceae) の概要

ホングウシダ科は、薄嚢シダ類に属する植物の一つで、約200種が熱帯や温帯地域に分布しています。この科には、多様な形態を持つ多年生の常緑性草本が含まれ、大部分が地面に生えていますが、岩や樹上、さらには水辺に生育するものも存在します。

形態的特徴

ホングウシダ科の植物は、細く不規則に分岐する根茎を持ち、匍匐するものが多いことが特徴です。根茎には赤褐色の非格子状の鱗片や毛が生えており、葉の基部にも同様の特徴が見られます。また、中心柱は特有のホングウシダ型の原生中心柱を持ち、木部の内側には篩部があります。

葉の形態は多種多様で、通常は胞子葉と栄養葉が同じ形をしていますが、まれに二形の種も存在します。葉身は1-3回の羽状複葉で、切れ込むこともあります。特に、ゴザダケシダ属の葉は1回羽状複生ですが、ホラシノブ属では2-4回羽状複葉が見られるなど、種ごとに変異があります。葉は一般に無毛で、光沢のある革質です。葉脈は通常自由に分岐し、網状になることもあります。

胞子嚢群は葉裏に形成され、隣接する胞子嚢群が合体して複胞子嚢群を形成することもあります。この胞子嚢には包膜があり、葉面に付着して開口します。胞子の数は、それぞれ32個または64個で、有性生殖を通じて胞子が生成されます。

生育環境と分布

ホングウシダ科の分布は広範で、亜熱帯から熱帯の環境に生育しています。特に、ホラシノブ属は熱帯地域に多く生息しており、特定の種では山地の明るい場所を好みます。ゴザダケシダ属はアジアからオーストラリアにかけて分布し、日本では特定の種が見られます。また、渓流沿いに生育する種類も多く、特定の地域固有の種も存在します。

系統と分類

ホングウシダ科は、ウラボシ目の最古の系統の一つであり、かつてはシノブ科に分類されていました。しかし、細胞学や分子系統学の研究により、独立した科としての地位が確立されました。現在、この科には7つの属があり、日本では4つの属が分布しています。エダウチホングウシダ属やホラシノブ属などがこの科の主要な属とされます。

化石記録

ホングウシダ科は、約9900万年前の前期白亜紀にまで遡る化石記録があり、特にミャンマーから発見された琥珀中の化石が知られています。これにより、この科が長い歴史を有することが示されています。特に、Proodontosoria myanmarensisという化石が記載されており、ホングウシダ科の進化の過程を理解する上で重要な証拠となっています。

人間との関係

ホラシノブは、中国の雲南省南部で薬用植物として使用され、その効果には解毒作用があるとされています。この地域では、地元の民間薬として広く利用されています。ホングウシダ科全体は、その多様な生態系の部分として重要であり、研究や環境保護の対象となっています。

ホングウシダ科は、生物多様性の観点から非常に興味深い科であり、今後の研究によりさらなる発見が期待されます。

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