ホンダ・スカッシュ

ホンダ・スカッシュ：コンパクトで個性的なスクーター

ホンダが1981年10月に発売したスカッシュ(SQUASH)は、49ccの2ストローク単気筒エンジンを搭載した小型スクーターです。全長1280mm×全幅610mm×全高930mmというコンパクトなボディと、前後3.00-8という小径タイヤが特徴で、軽快な走りを提供しました。

その最大の特徴は、そのコンパクトさです。同時期に発売されたホンダ・シティの純正オプションとして開発されたモトコンポと同様に、スカッシュも車載を想定した設計がなされており、ハンドルが折り畳めるモデルも用意されていました。手軽に持ち運べる、まさに「スニーカー」のような気軽さが魅力でした。

エンジンは、3.0ps/6,000rpmを発生する空冷2ストローク単気筒。モトコンポの2.5psを上回るパワーを持ち、軽快な加速を可能としていました。変速機は固定プーリーによる単段式で、無段階変速機構は備えていませんでしたが、街乗りには十分な性能を有していました。

また、スカッシュは機能面にも工夫が凝らされていました。CDI点火装置とオートチョークの採用により、始動性と燃焼効率の向上を実現。キックスターター式のスタンダードモデルの乾燥重量は46kgと、モトコンポとほぼ同等であり、取り回しの良さも魅力の一つでした。セルスターター付きのデラックスモデルもラインナップされていました。

販売にあたっては、『僕らのスニーカー。おもしろスクーター・スカッシュ。』というキャッチコピーが使用され、当時人気絶頂だったタモリをイメージキャラクターに起用。大規模な広告キャンペーンが展開されました。

カラーバリエーションは、ホワイト、ピンク、レッド、ブラックの4色が用意され、特にピンクは人気が高く、「スカピン」と呼ばれていました。当時のスクーターとしては非常に豊富なカラー展開で、個性を主張したいユーザーに受け入れられました。

さらに、フロントボックス、フロントバスケット、サイドキャリア（テニスラケット搭載用）、リアキャリア、フロアマット、シートカバー、ボディカバーといった豊富なアクセサリーも用意され、ユーザーのニーズに対応していました。特に、中古市場ではフロントボックスやサイドキャリアといったオプションパーツが高値で取引されることが多く、当時の需要の高さを伺わせます。

スカッシュは、そのコンパクトなボディと個性的なデザイン、そして豊富なアクセサリー類によって、多くのユーザーを魅了しました。発売から年数が経過した現在でも、その独特の存在感は根強い人気を誇り、中古市場で高い人気を保っています。その手軽さと個性は、現代のスクーターにも通じる魅力と言えるでしょう。

主なスペック

エンジン：49cc空冷2ストローク単気筒
最高出力：3.0ps/6,000rpm
変速機：固定プーリー式単段
車体重量：46kg（スタンダードモデル）
価格：88,000円～98,000円

関連車種

ホンダ・モトコンポ
ホンダ・モンキー
ホンダ・ダックス

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