ホンダ・フィットアリア

フィット アリアの詳細説明

フィット アリア（FIT ARIA）は、本田技研工業がかつて手掛けた小型セダンタイプの乗用車で、特に日本国内市場を意識して設計されました。このモデルは、ホンダの人気車種「フィット」のプラットフォームを基にした派生モデルです。特に東南アジア向けに開発された4代目シティを、日本で販売することを目的として輸入されました。

この車は、2005年9月にフルモデルチェンジされたシビックが3ナンバーサイズに大型化した影響により、2009年1月までの日本市場での販売を支えました。実質、新車として手に入る唯一の5ナンバーサイズのセダンとして、ホンダのラインナップにおいて貴重な存在として位置付けられていました。これにより、フィット アリアは、セダンのリプレースモデルとしても注目されましたが、日本国内におけるセダンの人気の低迷も影響し、地味な印象を持たれることが多かったです。

特に中国市場では、広州本田汽車有限公司が「フィット サルーン」としてこのモデルを生産、販売していました。

1. ボディ・シャーシの設計

フィット アリアは、燃料タンクをフロントシート下に配置したセンタータンクレイアウトを採用しています。この設計により、室内空間の最適化が図られています。また、フィットが5ドアハッチバックであるのに対し、フィット アリアは伝統的な4ドアノッチバックセダンとしてのスタイルを持っています。ボディデザインはフィットを基本にしつつも、セダンらしさを持たせるための巧妙な調整が施されています。

2. パワートレインの特徴

最初のモデルでは、1.3LのL13A型エンジン（86PS）と1.5LのL15A型エンジン（90PS）が利用されましたが、VTECエンジンは設定されていませんでした。2005年のマイナーチェンジで、L13A型が廃止され、以降はL15A型に統一。最上位グレードでは110PSのVTEC仕様が追加されました。2007年のモデルチェンジ以降は、全車両がVTECエンジンに統一されています。

このモデルにはCVT（ホンダマルチマチックS）が搭載され、スポーツモードや7速手動変速が可能なオプションも用意されています。駆動方式はFFの他、リアルタイム4WDも選ばれ、状況に応じた安定した走行が可能です。特に、この4WDはフィット アリア専用の仕様であり、他のモデルには設定されていません。

3. 生産と販売状況

フィット アリアは、2002年に初登場し、2009年に販売が終了するまでの間に数回のマイナーチェンジが行われました。初代モデルは実質的に2008年末にはタイからの輸入が終わり、その後は在庫のみでの販売が続きました。2009年の販売終了によって、ホンダの日本市場において5ナンバーサイズのセダンがいなくなりました。

車名の「Fit」は英語で「ぴったりの」という意味を持ち、健康や運動能力の高さを暗示しています。一方、「Aria」はオペラなどで見られる独唱曲を意味し、音楽的要素を回想させる響きを持っています。

結論

フィット アリアは、ホンダが市場に送り出した小型セダンの中でも独特の位置を持つモデルであり、その生産から販売までの経緯が日本の自動車市場の動向に大きく影響を受けています。それでも、コンパクトさや取り回しの良さなどから、特に若い世代や小規模なファミリーに支持される期待がありました。

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