ホンダ・GL

ホンダ GL/CXシリーズとWING INTERSTATE：革新的技術と個性的なモデル群

ホンダが1970年代後半から1980年代初頭にかけて製造販売したオートバイシリーズ「GL/CX」と、そのシリーズをベースに開発された限定車「WING INTERSTATE」について詳細に解説します。このシリーズは、当時のホンダの技術力の粋を集め、ツーリングとスポーツ走行の両立を目指した画期的なモデルとして知られています。

開発背景とコンセプト

1970年代半ば、ホンダは2輪部門の最高責任者である入交昭一郎氏の下、国際レースへの復帰と新世代エンジンの開発に着手しました。その一環として開発されたのがGL/CXシリーズです。1980年代を見据え、「ツーリングとスポーツの融合」というコンセプトのもと、革新的な技術が投入されました。

エンジンと走行性能

GL/CXシリーズ最大の特徴は、当時としては画期的な水冷縦置き80°バンクV型2気筒4バルブOHVエンジンです。496ccのGL500と396ccのGL400という2つの排気量バリエーションが用意され、どちらもショートストローク設計で、高回転域までスムーズに回る特性を持っていました。セルモーター始動、強制開閉式CVキャブレター2基、無接点式CDI点火など、先進的な技術が採用されています。特殊合金製プッシュロッドや、クランクシャフトに対して22°傾斜させたシリンダーヘッドなど、エンジンの耐久性向上にも工夫が凝らされています。

最高出力はGL500が48ps/9,000rpm、GL400が40ps/9,500rpmと、同クラスを上回るパワーを発生しました。また、動力伝達はシャフトドライブ、トランスミッションは5速マニュアルを採用。ラジエーターはエンジン直付け、クーリングファンも装備することで、冷却性能を高めていました。

シャシと足回り

車体は鋼管鋼板製ダイヤモンド型フレームを採用。サスペンションは、フロントがテレスコピック、リアがスイングアーム式です。リアサスペンションには、板バネとオリフィスに加え、コイルスプリングとチェックバルブを組み合わせたFVQダンパーを採用することで、速度に応じた可変的な減衰力特性を実現しています。ホイールはメンテナンスフリーでコストを抑えるため、独自の組み立て式コムスターホイールを採用。タイヤサイズは前輪3.25S19-4PR、後輪3.75S18-4PRのチューブレスタイヤでした。ブレーキは前輪油圧式シングルディスク、後輪ロッド式リーディングトレーリングブレーキです。

車重はGL400/500ともに218kgと、650ccクラスと同等の重量でしたが、重量配分を最適化することで取り回しの軽さを実現していました。

モデルバリエーション

GL/CXシリーズは、標準モデルに加え、アメリカンタイプの「カスタム」モデルもラインナップされました。カスタムモデルは、ティアドロップ型の燃料タンク、段付きシート、プルバックハンドル、アルミ製ラジエーターカバーなどを採用し、独特のスタイリングを特徴としていました。タイヤサイズやコムスターホイールのデザインなどに、標準モデルとの違いが見られました。

1981年には、GLシリーズにマイナーチェンジが行われ、フロントブレーキをダブルディスク化、フロントサスペンションをセミエアサス化、ヘッドライトをハロゲン化など、様々な改良が加えられました。その後、GLシリーズはCXシリーズに統合されて生産終了しました。

WING INTERSTATE：限定車

1983年には、800台限定のスペシャルモデル「WING INTERSTATE」が発売されました。北米で販売されていたGL650 SILVER WINGをベースに、排気量を673ccに拡大したエンジンを搭載。最高出力は58ps/8,000rpmに達し、大型フェアリングやパニアケースを装備するなど、ロングツーリングに最適な仕様となっていました。リアサスペンションはプロリンク式に変更されています。

まとめ

GL/CXシリーズは、革新的な技術とデザインを融合させた、ホンダを代表するオートバイシリーズの一つです。様々なモデルバリエーションと、限定車「WING INTERSTATE」の存在は、このシリーズが、当時多くのライダーを魅了した人気のオートバイであったことを物語っています。その技術的革新と個性的なスタイルは、現在でも多くのファンを惹きつけています。

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